もりや眼科

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糖尿病網膜症治療の難しいところ③

2016.03.28

本日は白内障手術12件

全て無事に終わりました。みなさん術後の痛みが少なくて経過良好のようでした。

 

糖尿病網膜症治療の難しいところ③

 

生活習慣病である糖尿病になる患者さんの性格には一定の傾向があるように思います。もちろん、「傾向」なので、それに当てはまらない方も多くいるということは予め断っておきます。その性格の一つが「医師の指示がなかなか守れない」(今回の話で言うと、禁煙できない)ことです。

 

 

糖尿病とともに、「喫煙」も糖尿病網膜症を悪化させます。網膜の血管を細める作用があり、網膜の血液不足を進行させるのです。そのため、糖尿病網膜症が悪い人には「是非喫煙しましょうね」と言って、カルテにも「禁煙指示済」と書くのですが、次に来た時もタバコのにおいがプンプン・・・相当吸っているんでしょうね。この人は当院初診前に既に他院で硝子体手術を何度か行った方なのですが、当院に来始めたときから既に視力が0.02で、生活に大分不自由しているようでした。「なんとか見えるようにしてください、お願いします!!」と強く言ってくるのですが、残念ながら一旦傷んだ部分は良くなりません。これ以上悪くならないように内科の治療も禁煙もしっかりやりましょうね、と言うのですが、それでもタバコを止める気配がありません・・本当に目を守りたいのかなと思ってしまいます。さらに、その後心筋梗塞にもなってしまったようで、とても残念です。

 

他にも同じような方がいて、重症の糖尿病網膜症と黄斑浮腫がある方なのですが、当院で手術をすることになりました。既往歴を聞いたところ、当院初診2か月前に脳梗塞をしたようです。脳梗塞のある方の場合、黄斑浮腫の治療薬である抗VEGF薬を使うと脳梗塞を悪化させてしまう事があります。(抗VEGF薬には何種類かあり、それぞれ目の外に対する影響はやや異なりますが、基本的にはどれも脳梗塞を悪化させる危険性があります)

そのため、患者さん本人と相談の上、抗VEGF薬を使用せずに治療をすることになりました。浮腫は経過とともに徐々に改善していきました(抗VEGF薬を使うととても早く治るのですが、今回はゆっくり良くなりました)。手術前から「タバコは網膜にも良くないし、脳梗塞にも良くないからやめようね」と良く説明していたのですが、それでもなかなかやめてくれません。この方も外来に入るなりタバコのにおいがするので、よっぽど吸っているのだと思いました。

 

何度も言うようですが、医師のいう事を良く守ってくれる方も沢山います。また、タバコを吸っていなくても網膜症が悪くなる人も沢山います。しかし、リスクの一つであることは間違いないので、医師の指示を聞いてもらいたいと思います。

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