白内障手術を申し込んだ後の流れ② 白内障以外に視力をさげるような病気がないか
2013.11.11 白内障
今日は白内障手術を10件行いました。
すべて無事に終わりました。
白内障手術を申し込んだ後の流れ② 白内障以外に視力をさげるような病気がないか
前回の続きです。
白内障があって、視力が下がっていたとしても、他に目の病気がないかを調べなくてはなりません。もし白内障以外に目の病気があったとしたら、白内障手術をしても視力が上がらないかもしれないからです。
白内障は、目の中にある水晶体という部分が濁る病気ですが、目は他にもいろいろな部分からできていて、角膜、網膜、視神経など、すべての部分がしっかり働くことで物が見えるのです
最近当院であった例ですが、「白内障手術をしてください」といって、当院を受診された方で糖尿病網膜症が悪化して「黄斑浮腫」という合併症をおこして視力低下をしていた方がいらっしゃいました。糖尿病網膜症があっても白内障手術をする場合もありますが、白内障手術自体で「黄斑浮腫」を悪化させる可能性があるため、手術延期の上で「黄斑浮腫」の治療を行いました。
その他、白内障検査希望で来院された方で緑内障末期の方もいらっしゃいました。点眼で緑内障が悪くならないように治療をするのですが、緑内障は「いちど悪くなったら治らない」病気ですから、患者さんのショックも大きかったと思います。同じように、白内障手術希望当院を受診して他の目の病気が見つかった方は、この1年だけで10人近くいらっしゃいました。
「視力が下がった=白内障になった」とは限りませんから、見えにくくなったと思ったら早めに眼科に受診するのが良いかと思います。
白内障手術希望で来院された方の流れ①白内障があるのかどうか
2013.10.28 白内障
今日は白内障手術9件(乱視用レンズ3件)
翼状片手術1件
硝子体手術1件
無事に終わりました。
以前から、白内障関係の記事を網羅的に書きたいと思っていたので、また少しずつ書いていきたいと思います。時々お電話やメールで「参考になりました」と言われるようになりました。
白内障手術希望で来院された方の流れ①
白内障手術希望の患者さんが来院された場合、確認しなければならないことがいくつかあります。
①白内障があるのかどうか
②白内障以外に視力を下げるような病気がないか
③無事に白内障手術ができそうか
これらの検査で問題なければ、手術の申し込みができます。検査の細かい内容は眼科によって異なると思いますが、当院での場合について書いていきたいと思います。
①白内障があるのかどうか
白内障が無い目に白内障手術しても視力が上がるはずはありませんので、大事な検査です。診察室で目をみれば白内障があるかどうか一目瞭然です。しかし、突き詰めると結構難しくもあります。
白内障は水晶体が濁る病気ですが、水晶体全体が一様に濁るわけではありません。以前、白内障もいろいろ種類があることを話しましたが、視力を下げやすい白内障や、視力が下がりにくいけども眩しくなりやすい白内障があります。
核白内障
皮質白内障
極端に言うと、水晶体のなかで少しでも光の通りみちがあれば視力がでます。(針の穴から外をみる感じです)また、水晶体の中心が濁ると、少しの濁りでも視力が下がってしまいます。
我々眼科医は、白内障手術をしてよく見えるようになってもらって喜んでもらおうと思っていますから、「手術をしてどのくらい視力が上がりそうか=白内障でどれだけ視力が下がっているか」という見積もりをたてています。それを踏まえたうえで「あなたには白内障手術をお勧めします」とか、「まだ手術には早いのではないでしょうか」と伝えたりします。
流涙症(なみだが溢れる病気)結膜弛緩症
先週と今週で
白内障手術 19件 (うち、乱視用レンズ 7件)
硝子体手術 6件
緑内障手術 1件(エクスプレスシャント)
眼瞼下垂症手術 2件
翼状片手術 1件
無事に終わりました。
流涙症(なみだが溢れる病気)結膜弛緩症
涙そのものが増えたり減ったりしなくても、目の形が変化することで涙が出やすくなることがあります。
目の表面に出た涙は、下まぶたと目の隙間に貯まります。(上図)この隙間が無くなってしまうと、涙が目からあふれやすくなってしまいます。
白目の表面には、「結膜」というぶよぶよした膜が張っているのですが、年齢とともにこの膜が緩んでしまいます。そうすると、余った結膜が下まぶたと目の隙間にはまり込んで、本来涙がたまるスペースを占拠してしまい、涙があふれることになってしまいます。これを結膜弛緩症と言います。
青い光で診察した写真なので少しわかりにくいですが、上の写真が結膜弛緩症の写真です。
結膜弛緩症になると、涙があふれやすくなるだけではなく、出血しやすくなります。これを結膜下出血といいます。
上の写真が結膜下出血の写真です。結膜弛緩症の方は、これを年に何回も繰り返すことがあります。
結膜弛緩症を治す手術はごく短時間(5分位)で行うことができます。結膜のシワをのばして、縫合して強膜固定します。シワを目の奥の方に追いやることで、結膜弛緩症を治します。
上の図の緑の部分で強膜と縫合します。
この手術で流涙症が改善する方もいらっしゃいますが、確実に治るというわけではありません。流涙にはいろいろな要素が複雑に絡まっていることが多いので、結膜弛緩症以外に流涙の原因がある方は、治りにくいこともあります。
流涙症(なみだが溢れる病気)その2 涙道閉塞症
2013.10.07 涙器
本日は
白内障手術を10件(乱視用レンズ2件)を行いました。
みなさん無事に手術を終えました。
流涙症(なみだが溢れる病気)その2 涙道閉塞症
今回は、涙の出口が詰まる話です。涙の出口が詰まると、1日中涙が出てしまいます。
目の表面にある涙は、上まぶたと下まぶたにある涙点から、涙小管、涙嚢(るいのう)、鼻涙管(びるいかん)を通って、鼻に通じています。この途中が詰まってしまうと、涙が鼻に抜けなくなり、流涙症の原因になります。
涙の通り道が詰まっているかどうかは、涙洗針を用います。「針」という名前はついていますが、実際には先はとがっていません。
上の写真が涙洗針です。右側にシリンジを付けます。涙洗針の先を涙点に差し込んで、鼻に水が通れば開通しているということになります。しかし、これで通らないとなると、今度はどの部分が詰まっているかを調べなくてはなりません。
上の写真は、「ブジー」といって、色んな太さの針金です。これを涙点から挿入することで、どこで詰まっているのかがわかります。また、詰まり具合にもよるのですが、場合によっては詰りが開通することがあります。もし開通した場合、徐々に太いブジーを挿入して、涙道を拡張していきます。
開通したままにしておくと、高い確率で閉塞するので、シリコン製のチューブを挿入します。チューブの片方を上涙点から、もう片方を下涙点から挿入します。
これはチューブが入った写真です。2-3か月は挿入したままにして、それからチューブを抜去します。チューブを抜いたあとでも閉塞しないことも多いのですが、残念ながら際閉塞することもあります。そのような場合では、手術による治療を行うこともあります。
もりや眼科 平成25年9月の手術実績
2013.10.01 手術実績