糖尿病網膜症治療の難しいところ
今回は白内障手術を12件
無事に終わりました。
糖尿病網膜症治療の難しいところ
患者さんの性格によっては、糖尿病の治療はとても難しいことがあります。「生活習慣病」と言われているだけあって、生活習慣が治らない事にはどうにもなりません。場合によっては患者さんが受診をさぼることもあります。糖尿病になったばかりの場合、今現在視力が下がっているのでもないし、全く不自由しないので治療に熱心になりにくいです。
最近来院した患者さんもそのような方の一人でした。60代の女性なのですが、とても明るい方で外来でも良くお話をされます。もともとは白内障があって昨年3月に来院されました。矯正視力は0.7前後なので若干不自由していたと思います。60代で白内障は若干早いのですが、糖尿病があると白内障は10歳くらい若く生じる事があります。眼底にはすでにレーザー治療をしてあって、糖尿病網膜症は落ち着いているようでした。
白内障手術を予定しようと思ったのですが、HbA1cが10を超えているとの事でした。これはかなり糖尿病が悪いことを示しています。「白内障は治療すれば治るけど、網膜症が悪化したらなかなか治らないよ」と説明して、白内障の手術をおこないました。7月に手術をしたのですが、特に問題なく手術ができました。
術後の矯正視力は両眼とも1.2になって一安心。以後は糖尿病網膜症が悪くならないか定期検査をすることになりました。外来診察時はかならず糖尿病の治療の様子を聞くのですが、一向にHbA1cが減る様子がありません・・今回受診の時にも聞いたのですが、HbA1cが12もあるようです。初診時よりも悪くなっていてビックリしました。恐らくこのままの数字が続くと糖尿病網膜症が再燃してしまいます。
外来で「このままだと失明するかもしれないよ!」と言いましたが、きちんと内科を受診しているか確認しないといけないですね。ちゃんと内科に言っていれば通常はこのようなHbA1cにはならないと思います。
実際に糖尿病網膜症が活発になってしまうと、いろんな治療や手術がうまくいかないことも多くあります。視力に影響する前に糖尿病が改善してもらいたいものです。
糖尿病で目に生じる変化
本日は白内障手術12件行いました。瞳孔が小さい人もいましたが、特に問題なく手術ができました。
糖尿病で目に生じる変化
糖尿病は全身の血管にダメージを与える病気ですが、当然目の中の血管にも影響してきます。
自分で目の中を見ることはできないので、目の中がどのようになっているか知らない人も多いのではないでしょうか?
まずは以前他院でフォローされていて、当院に来院された末期の糖尿病網膜症方の眼底写真です。視力は0.02です。
次に、20代の正常な眼底写真です。
パッと見て全然違うと思うのですが、解説していきたいと思います。
矢印の部分は視神経乳頭というのですが、正常では肌色をしています。
神経がダメージを受けるとだんだん白くなっていきます。糖尿病の方は真っ白ですね。相当視神経が傷んでいるのだと思います。
網膜は血液で栄養されています。太い血管の方が静脈で、細いほうが動脈(矢印の先)です。正常では、静脈と動脈の太さの比率は3:2程度です。
糖尿病の方の動脈はとっても細いですね・・・一部は写真で確認しづらいくらいです。
網膜のなかで黄斑と呼ばれる部分があります。正常ではこの矢印の場所です。網膜の中でも一番大事な部分で、ここがやられると急激に視力が落ちます。
糖尿病の方は黄斑の色が変になっています。こうなると視力はほとんど出ません。
病気というと「治療すると治る」イメージがあるかもしれませんが、糖尿病網膜症はそうではありません。
いつも火事に例えるのですが、医療でできることは「火を消すこと」だけです。焼けてしまった家を治すことはできないのです。
白内障手術の費用
2016.02.18 もりや眼科
今回は白内障手術を12件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
白内障手術の費用
普段買い物をするときには1円でも安くしたいという思いが働く一方で、目の手術の費用がいくらになるのか気になってもなかなか聞きにくいかもしれません。国が決めが値段なので私が値段を決めるわけではありませんが、色んな制度を効率よく利用すればなるべく安く済ませることも出来ます。今回はそんなコツをいくつか書きたいと思います。
通常白内障手術は約15万円かかる手術です(使用する薬品などによって若干異なります)。3割負担の方は約4万5千円、1割負担の方は1万5千円という事になります。しかし、実際にはもう少し安くすることができます。
①現在何歳ですか?
現在69歳以下の人は3割負担、それ以上の人は2割(もしくは1割)負担になります。2割であっても、1割であっても高額医療費制度に違いはありません。そのため、1割か2割かでは手術費用はあまり変わりないのです。通常の所得の方であれば、12000円が限度額になり、それ以上の医療費はかかりません。そのため、同じ月であれば、片目手術をしても両目手術をしても費用が変わらないことになります。3割負担の人は70歳が近ければ少し待って70歳になってから手術するのが良いです。
また、74歳から75歳になる誕生月に手術を受けると手術日が約半分になります。これは制度を良く知らないと出来ない技です。誕生月の誕生日前は高齢者で、誕生日後は後期高齢者となり、高額医療費の限度額もそれぞれで折半されます。通常の限度額12000円の人が誕生日以降で手術を受けた場合、6000円で手術を受けることができます。
②入院か、外来かで限度額が違います
高額医療費制度の値段表を見ると分かるのですが、70歳以上の人の限度額は外来か、外来+入院かで異なっています。倍近く違います。入院するか日帰りにするかは手術する施設の都合もありますし、患者さんの希望もあると思うのですが、費用の面だけで考えると日帰りの方が安くなります。