白内障手術の精度を上げる機械 眼軸長測定装置 OA-2000
先週は木曜、土曜日も手術を行ったので、今週の月曜日も含めると大変多くの症例を手術しました。
スタッフもお疲れ様でした。
この1週間で白内障手術29件
硝子体手術11件
緑内障手術1件
皆さん無事に終わりました。
白内障手術の精度を上げる機械 眼軸長測定装置 OA-2000
眼科医でないと分からないと思うのですが、眼軸長の測定というのは白内障手術の一つの要になります。
眼軸長は、目の奥行の長さの事です。
このデータを元に、手術で使用する眼内レンズの度数を決めることになります。そのため、この数字に誤差があると、必然的に手術の結果に跳ね返ってきます。術後に遠くが見えるようにピントを合わせたつもりなのに、眼鏡をかけないと遠くがうまく見えない・・なんていうことになる可能性があります。
当院では多焦点眼内レンズも使用しています。多焦点の売りは「遠くも近くも見えますよ」なのですが、ピントの位置がずれてしまうと台無しになってしまいます。
当院では開院時にトーメー社のOA-1000という眼軸長測定装置を使用していて、これは4年前では最新の器械でした。光干渉断層撮影という新しい方式の測定装置で、測定精度がとても高かったのですが、一方で強い白内障の方ではうまく測定できないという欠点がありました。
その場合は超音波を使用した測定を行うのですが、どうしても精度が落ちてしまいます。
最近になって、新しい眼軸長測定装置 OA-2000を導入しましたが、これがなかなか優れた器械なのです。
通常白内障が強いと、白内障より奥が観察できなくなります。この機械も眼軸長を光を使って測るので、白内障があまりに強いとうまく測定できません。ところが、このOA-2000は検査可能率がとても高いのです。
測定も簡単なので、患者さんへの負担も少なくなります。
最近時々あるのが、レーシック手術後の患者さんです。角膜の形状が変化しているので、通常と同じ計算式で眼内レンズの度数を算出すると、度数がずれてしまいます。そのような場合にも対応できる計算式が搭載されているのも特徴です。
検査器械は患者さんが特に意識することはないかもしれませんが、とても重要です。
最新の器械を常に使用することで、高い手術成績を維持しようと考えています。
術前検査で見つかる円錐角膜
2016.05.09 白内障
本日は白内障手術14件、
涙点閉鎖術1件
無事に終わりました。
術前検査で見つかる円錐角膜
このところ、白内障手術の術前検査で円錐角膜が見つかる方が数名いました。
眼の一番表面にある「角膜」という部分は、球面に近い形をしています。円錐角膜は、この形が変形してしまって円錐状になってしまう病気です。角膜は光を目の中身導くレンズの役割をしていますから、角膜が変形してしまうとレンズとしての質が落ちてしまって、視力がうまく出なくなってしまいます。
円錐角膜の治療方法の一つにハードコンタクトレンズがあるのですが、ハードコンタクトが角膜を抑えることで乱視の量を減らすことができます。
上は角膜の形状を測定する検査です。CYLと書いてあるのが乱視の量です。-2.90という数字は、乱視の量が多いほうです。KAIも角膜の状態を示していて、38.60というのは結構多いほうです。
この方はハードコンタクトを使用していたので、装用を辞めてもらいました。すると・・・
かなり強い角膜乱視が生じていました。-7.27という乱視の量はとても多いです。また、KAIの数字もとても増えています。
トポグラフィーという角膜形状解析装置をしようすると、このような結果になります。
暖かい色は角膜表面のカーブがきついことを示しています。中央より下方で角膜が突出していることが分かります。これは円錐角膜という病気です。術後もコンタクトをしないと、乱視が多い状態になることが予想されます。
現在乱視を減らすタイプのレンズがあって、当院も積極的に使用していますが、円錐角膜の乱視は「不正乱視」といってこのレンズでは完全には強制できません(一部減らせる乱視もあります)。
また、多焦点眼内レンズも円錐角膜ではうまく視力がでないので使用できないことになっています。
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4月25日の手術実績
2016.04.25
本日は白内障手術15件実施しました。
件数が多いと終わる時間が遅くなりますね。最近も免許更新の関係で急ぐ方がおおいので、なるべく手術待ちが長くならないように工夫したいと思います。
新しいERGの機械を入れたり、角膜乱視のある方のオルソケラトロジー、白内障手術検査器械の新しいのなど、話題にしたいことはいろいろあるのですが、まとめる時間がなくてすいません。またGW明けに書いていこうと思います。
平成28年3月の治療実績
2016.04.20 手術実績
網膜色素変性症と拡大読書器
今回は白内障手術を14件行いました(うち入院2件、乱視用レンズ2件)
無事に手術を終えました。
網膜色素変性症と拡大読書器
網膜色素変性症は難病指定されている病気なのですが、現在特に有効な治療がありません。
人によってはかなり見えにくくなります。視野が狭くなったり、暗いところでは殆どみえなかったりします。
網膜色素変性症の方の眼底写真ですが、周辺部で網膜の色が灰色になってきています。
上の写真は健康な人の眼底写真ですが、比較すると色調の違いが分かりやすいと思います。
当院で診ている人の中で、網膜色素変性症の方が「見づらくて文字が書けなくなった」と言いました。そのため、拡大読書器を試してみることにしました。
拡大読書器はいくつか種類があります。大まかにはハンディタイプと据え置き型があります。
文字を読むのにはどちらも良いと思うのですが、書くとなるとハンディタイプはうまくいかないようです。
片手で拡大読書器を持ちながら、もう片手で物を書くことは難しいということでした。据え置き型なら両手が自由になるのですが、一方で画面を見ながら物を書くのは少し慣れが要るようです。
うまく慣れて生活の質が保てればと思います。