ICL手術を受けました①
本日は白内障手術9件
無事に終わりました。
ICL手術を受けました①
先日私はICL手術(近視矯正手術)を受けました。
私の周囲ではまだこの手術をうけた眼科医はいません。多分日本の中でこの手術を受けた眼科医はほとんどいないか、もしくは初めてかもしれません。なので、私がどうしてこの手術を受けようと思ったのか、まだ術前後の経過について書く必要があると思いました。眼科が専門でない方にも分かりやすく書こうと思います。また、後半では専門的なデータも出したいと思っています。
私は小学3年位から眼鏡を必要とする近視があって、そこからずっと眼鏡をかけた生活をしていました。朝起きたらまず行う事は眼鏡をつける事です。そうしないと全く見えません。床屋に行くと、最後に鏡で後頭部を見せてくれるのですが、全く見えません。見えないしぐさをすると鏡を近づけてくれるのですが、それでもさっぱり見えません。自分の顔に目が付いているのかどうかも怪しいくらいの見え方なので、髪の毛がどうなっているのか全くわかりません。
もちろん、眼鏡をつけていると問題なく生活も仕事もできます。プールや温泉、海水浴では眼鏡をつけられないのでやや困ります。以前山梨の温泉に入ったとき、酸で眼鏡のコーティングがやられてしまったようで、眼鏡が真っ白に濁ってしまいました。これは相当大変なことで、自宅に帰るまで大変な思いをして運転した思い出があります(本当は視力が出ない状態で運転してはいけません)。
私が学生の頃にレーシックの技術が日本で普及してきて、知り合いの先生がレーシックを行っていたことから、私も行ってみたいなと思っていました。ただ、急いで手術をするほど困っていなかったので、しばらく様子を見てから行おうと思っていました。私が眼科研修医として勤務していた病院でレーシックを受けられることになり、仕事の同僚がレーシックを受けて快適生活を送れるようになりました。私もやろうかなと思って術前検査を行ったところ、網膜裂孔が発見されたためしばらくレーシックができない事になってしまいました。また、私は近視と乱視がやや強い為、そもそもレーシックにはあまり向いていない目であることも分かりました。レーシックは角膜を削る治療のため、削れる量(=近視矯正量)に限界があるのです。
ちなみに、レーシックはきちんとした眼科医でない医師がトラブルを起こして問題になりました。そのため、レーシック=危ないというイメージが広まってしまいました。私は信頼できる眼科医が手術すれば問題ないものだと思っています。ただ、眼科医でない人が信頼できる眼科医を探すのは難しい事だと思います。
私が眼科を開業する頃から、hole ICLが出てきました。レンズの中央に穴が開いているということに非常に驚きました。しかも、これが非常に見え方がよいという声が聞こえてきました。手術手技自体は白内障術者である私には特に問題ないものであったため、自分のクリニックでも数名手術を行いました。これが非常に喜ばれて、しかも良く視力が出るのです。外来で「先生もこの手術を受けたら良いよ」と言われました。
私は開院してからダイエット目的でジョギングをするようになりました。次第に体力がついてくるとハーフマラソン、フルマラソンと走るようになり、さらには100キロやトレイルマラソン(山の中を駆け抜けるマラソン)も走るようになりました。こうなってくると、眼鏡ではとても不自由します。長距離走っていると汗などで必ず眼鏡が汚れてきてしまうのです。また、雨の中で走るのも大変で、眼鏡を拭けなくなってしまいます。サングラスをかけにくいので、すごく天気が良い中で走るのも実は大変です。今年の夏にはUTMB(モンブランの山の周りを46時間かけて170キロ走る山岳レース)やスパルタスロン(アテネからスパルタまで245キロを走るレース)に参加しようと思っています。毎晩に全力でトレーニングをしているのですが、それでも完走できるかどうか、という程のものです。わずかでも完走できる確率を高める為、ということで手術を決心しました。
多くの人は近視が無い方がいいな、でも手術って大変そうだな。と思っていると思います。ただ、最後はエイヤと決めてしまうしかないのかなと思います。結果として、手術して想像以上の見え方になりました。また次回続きを書きたいと思います。