徐々に進行する網膜静脈閉塞症
2014.05.19 網膜
本日は白内障手術11件を行いました。
IFISの方がいましたが、特に問題なく終わりました。プレチョッパーという器具を使用すると虹彩が暴れだすまでに核分割が終わるので安全に手術ができます。
また、緊張が強い方に内服薬を飲んでもらってから手術をしたのですが、これが良く聞いたようで穏やかに手術を行うことができました。
今回のお話は網膜静脈閉塞症についてです。
網膜静脈閉塞症に関しては、過去の記事を見てください。
https:/moriyaganka.com/blog/24164789.html
網膜静脈閉塞症とあ、網膜に流れる静脈が詰まる病気です。血管が詰まるという意味では心筋梗塞や脳梗塞と同じで、目にとっては危機的な状態です。完全に静脈が詰まっている場合もあれば、切迫型といって、血流が悪くなっているだけ、というものあります。初めは切迫型だったのが、そのうち完全閉塞になることもしばしばあります。
網膜静脈閉塞症では、血液不足になった網膜に新しく血管を作ろうとして、VEGFというホルモンが眼球内に大量に分泌されます。このホルモンによって虹彩に新生血管が生じます。すると、虹彩の新生血管が目の中の水の出口を塞いでしまい、新生血管緑内障という悪性の緑内障を引き起こしてしまいます。こうなると、光を感じなくなるだけではなく、激しい眼痛が生じてしまいます。
これを防止するためにはレーザー治療が必要なのですが、当初レーザーで落ち着いていても、後になってもっと血流が悪くなり、結果として新生血管緑内障になることがあります。
上の写真は70台の女性で、発症一か月の網膜中心静脈閉塞症です。
静脈(矢印)が太くなって蛇行しています。心臓に帰るはずの血液がうっ滞しているのです。
これは上の写真と同じ人の発症1年半後です。静脈が殆どわからないくらい細くなっています。視神経乳頭の部分(矢印)の部分を見ると、静脈が細くなっていることが分かります。
レーザーを沢山打つことで新生血管緑内障を予防していますが、それでも網膜の血流が途絶してしまうと新生血管緑内障が生じることがあります。場合によっては緑内障手術が必要になるかもしれません。