アルカリが目に入ったら危険!
2014.02.17 もりや眼科
本日は白内障手術を9件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
アルカリが目に入ったら危険!
眼科をやっていると、目に○○が入った!と言って駆け込んでくる患者さんを良く診ます。多いのは破れたソフトコンタクトが目に入った人でしょうか。赤ちゃんの指が入ったという人もいました。他にも、揚げ油、殺虫剤、洗剤、洗顔料のスクラブ、火山灰が入った患者さんを診たことがあります。
その中でも、特に重症になるのがアルカリ性の物質が目に入った時です。一般的なイメージでは、酸性の物質の方が危ないイメージかもしれません。しかし、酸性の物質は眼の表面しか障害しないのに対して、アルカリ性は眼の深くに浸透してダメージを与えるため、深刻な障害を与えることがおおいのです。
先日経験した症例で、生コンクリートが目に入ってしまったという事で当院を受診しました。
結膜が充血しているだけのように見えますが、角膜を染色してみてみると下半分が染色されました。角膜上皮が障害されると染色されるようになるのです。
アルカリは角膜の組織深くに浸透しているので、来院してすぐに30分持続洗浄を行いました。本当は来院前にしっかり目を洗ってもらった方が治りが早いのですが、なかなか良く洗ってくれません。「とりあえず早く眼科に行かなきゃ!」という心理は分かるのですが・・
この方は、2日後には角膜の上皮が貼ってきて、もう一息で治りそうという感じでした。
今回はアルカリが目を強く傷害していなかったのできちんと治りそうでしたが、実際には失明してしまう方もいます。アルカリを浴びた後で結膜が白っぽくなっている場合は要注意です。結膜の血管が障害されているという事です。
このような場合は、角膜上皮を作る細胞も死滅していることが多く、角膜上皮が再生しません。そうすると、角膜表面に結膜が張り出してきて、角膜が濁ってしまいます。
目に良く入る強アルカリ性のものは、生石灰やコンクリートでしょうか。以前はグランドにひく白線の成分も強アルカリ性でしたが、子供に危ないということで現在では中性で安全なものを使用しているそうです。