白内障手術を申し込んだ後の流れ③ 無事に手術できそうかどうか
2013.11.18 白内障
今日は白内障手術8件
翼状片1件、眼瞼腫瘍1件
すべて無事に終わりました。
白内障手術を申し込んだ後の流れ③ 無事に手術できそうかどうか
前回から、さらに続きます。
手術する方の立場にしてみれば、「無事に手術ができそうかどうか」を判断するのはとても大事なことです。白内障手術の場合、ほとんどの場合は特に問題なく出来ますが、時々難しい場合があります。最近は白内障手術が進歩したので、「白内障手術は簡単だ」と思われがちですが、実はそうではない場合もあるのです。中には、手術が不可能な白内障というのも存在します。
前回お話した「白内障以外に病気があるため、手術しても視力が上がらないであろうと予想される場合」にも、状態によりますが手術出来ないことがあります。
角膜内皮細胞(角膜を透明にする細胞)があまりにも少ない場合、手術後に角膜が濁って視力低下してしまう場合があります。
https:/moriyaganka.com/blog/22129056.html
下の方は水疱性角膜症で角膜が濁った写真です(当院初診時から水疱性角膜症でした)。
白内障は、虹彩の奥にありますから、点眼薬で虹彩が開きにくい場合も手術がしにくいです。最近は、虹彩を広げる良い道具がいくつか開発されているので、虹彩があまり開かなくても手術はできますが、通常よりも時間がかかることがあります。下の写真は、虹彩と水晶体が癒着(くっついた)写真です。
白内障があまりに進んでいても手術がしにくいです。下の写真は上段が通常の白内障ですが、下段はやや進行した白内障です。通常白内障は白色~黄色ですが、進行すると茶色~黒色になります。白内障が進んでいると固くなりますので、その分白内障を細かく砕くのに沢山エネルギーを必要とします。
白内障手術では、チン小帯がしっかりしていることがとても大事です。チン小体は、水晶体を支えている筋肉です。
https:/moriyaganka.com/blog/19504485.html
水晶体を支えているチン小帯が弱い場合、白内障を吸い取った後に人工のレンズが入らない場合があります。その場合、人工のレンズを目の中で縫いつける作業が必要になります。そうすると、手術時間が増え、網膜剥離や感染症などの合併症が生じる確率も上がります。場合によっては2回に分けて手術する必要があります。
手術用のベッドに仰向けで寝ていられるかというのも、とても大事です。良くいらっしゃるのが、円背といって背中が丸くなっている方です。横向きに寝ることはできますが、仰向けになれないことがあります。顔さえ上を向いていれば手術ができますので、手術の姿勢が取れそうか不安な方は、術前検査の時に手術室のベッドで実際に寝てもらうこともあります。