目の中に炎症がおきる病気(ぶどう膜炎と白内障)
2013.03.25 白内障
先週は急性緑内障発作の方が来られました。レーザー治療はもともとしていたようですが、効いていなかったため、緊急手術を行いました。翌日から眼圧が1桁になり、経過良好です。
また、重度のドライアイの方がいらっしゃって、よく見たら涙腺が腫れていました。ミクリッツ症候群ですね。今度IgG4の測定も行いたいと思います。
また、眼痛の方がいらっしゃって、よくお話を聞いたら緊張型頭痛のようだったので、他科に紹介させていただきました。当院は目が痛いという患者さんも多いですが、緊張性頭痛や偏頭痛、眼瞼痙攣がとても多くいらっしゃいます。痛みは本人しかわからないので、診療がとても難しいことがあります。目の痛みについてもそのうちお話したいなと思います。
本日は白内障手術6件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
目の中に炎症がおきる病気(ぶどう膜炎と白内障)
これまで、合併症を伴う白内障として落屑症候群や糖尿病網膜症の話をしてきました。今回はぶどう膜炎という病気が白内障に及ぼす影響について話したいと思います。(ぶどう膜炎そのものの詳しい説明は別の日に書きます)
ぶどう膜炎は、目の中で炎症が起きる病気です。充血が起きて結膜炎かと思って眼科に来たらぶどう膜炎だと言われた人もいます。また、目の中の水(房水)が濁るので、視力が下がって眼科に行ったらぶどう膜炎と言われた人もいます。
ぶどう膜とは、目の中の茶色の部分で、外から見えるのは虹彩(青矢印)です。目の中には脈絡膜(赤矢印)もぶどう膜です。ここにはメラニン色素があるので、茶色をしているのですが、この部分は免疫異常で炎症を起こしやすいのです。
炎症が水晶体に波及すると、濁りが生じてしまいます。そのため、ぶどう膜炎そのものだけではなく、白内障でも視力低下をしてしまいます。しかし、ぶどう膜炎のあとで白内障の手術をすると、時々手術が難しいことがあります。 これは、ぶどう膜炎になった人の瞳孔の写真です。先ほどのイラストの青矢印の先の部分で、水晶体と虹彩がくっついています。これを虹彩後癒着と言います。これが生じると、暗いところに言っても瞳孔が開かないので、暗く見えます。 白内障を手術するときも、瞳孔を開いて手術をします。そのため、きちんと瞳孔が開かない人の場合、手術がしづらいのです。 瞳を開くと、癒着しているところがはっきりとわかります。この程度であれば、手術するのに殆ど支障はないのですが、あまりにがっちり癒着しているとなかなか外れません。ぶどう膜炎の治療は、炎症を抑えるだけではなく、瞳孔が癒着しないようにする(瞳孔管理)が重要です。