白内障手術と角膜内皮細胞
2013.01.10 白内障
今週は乱視用のレンズを使った白内障手術を3例行いましたが、どの症例も乱視がかなり減りました。そのうちの一人はメガネなしで免許更新出来たとのことです。今後も適応症例はどんどん使っていきたいと思います。
白内障手術と角膜内皮細胞
今回は角膜内皮細胞について説明したいと思います。白内障手術を行う方は必ず手術前にこの検査を行いますが、この細胞がどういう役割をしているのか、一般にはあまり知られていません。
角膜は眼球の表面にありますが、目の中に光を導くために透明になっています。実は角膜が透明であることはとても難しいことで、角膜の中の水分量が多くなりすぎると濁ってしまうのです。角膜は勝手に水分を吸収してしまう性質があるので、何もしないと濁ってしまいます。
角膜内皮細胞という細胞は角膜の一番内側にあります。下の写真の赤線の部分にびっしりと細胞が敷き詰められています。角膜の水分は、この細胞によって角膜の外に排出されるのです。
下の写真は正常な方の角膜内皮細胞です。
青線の中が角膜内皮細胞の写真です。小さい細胞が隙間なく敷き詰められているのが分かると思います。その右にある赤枠の「CD」と書いてあるのが細胞の密度です。正常は2千から3千くらいです。生まれたときは4千以上あるようです。
上の写真は先日当院で白内障手術を行った方です。左の写真では、ひとつひとつの細胞が大きいことがわかります。数が減ると、1個あたりの細胞の大きさが大きくなります。角膜内皮細胞の密度を見ると1299で、とても少なくなっているのが分かります。
角膜内皮細胞が500より少なくなると、角膜が濁りやすくなります。角膜内皮細胞が減ることで角膜が濁ることを「水疱性角膜症」と言います。
上の写真は水疱性角膜症の写真です。角膜の中心が白っぽく濁っています。角膜が濁ると視力はうまくでません。
角膜内皮細胞は増える機能がない細胞で、つまり、生まれてから死ぬまで減り続ける細胞です。また、角膜の裏側にあるので、白内障手術である程度(平均で5%程度)減ってしまうのです。そのため、手術の前に角膜内皮細胞を良く調べる必要があります。角膜内皮細胞が少ない人は、手術を慎重に行う必要がありますし、手術後に角膜が濁る可能性があることを患者さんに伝える必要があります。小山市 結城市 筑西市 栃木市 下野市 古河市 栃木市 白内障手術 緑内障手術 もりや眼科