乱視を治す白内障眼内レンズ
2012.12.13 白内障
もう年末が近いということで、昨日は院内の大掃除を行いました。
当院は床が白いので靴の跡がつくのが気になっていたのですが、ダスキンに頼んだらすっかり綺麗でピカピカにしてくれました。開業当初は自力でワックスをかけたのですが、仕上がりが全然違いました。
来週の手術が無事に終われば、年を越すことができそうです。
乱視を治す白内障眼内レンズ
先週の乱視の話の続きです。
軽くおさらいをすると、正乱視は目のゆがみが原因なので、直すためには円柱レンズが必要ということでした。
乱視の程度に明確な基準は無いようですが、
1D(ジオプター)以下 軽い乱視(乱視を矯正しなくても、ある程度の視力が見込まれる)
1D-2D 中くらいの乱視
2D以上 乱視が強い
という感じでしょうか。
白内障手術で使用する乱視用レンズは、通常のレンズに円柱レンズが組み込まれています。そのため、正乱視を軽減することができるのです。しかし、このレンズは正乱視のある人すべてに使えるわけではありません。
目の中には(角膜:青矢印)と(水晶体:赤矢印)の2枚のレンズあります。白内障手術では、水晶体を取ってしまいます。そのため、水晶体だけに乱視があったとしても乱視用レンズは使わなくても良いのです。
白内障手術で乱視用レンズを使うかどうかは、角膜の乱視の程度を見て判断します。
これは私の右目の角膜のデータです。実は、私は強い直乱視があります。
弱主とは、弱主経線です。角膜の6度方向では、41.82D(ジオプター)の屈折力があります。強主は、強主経線です。角膜の96度方向では、45.30Dの屈折力があります。
強主経線と弱主経線での屈折力の差が乱視の度数になります。私は45.30-41.82=3.48Dという強い乱視があることがわかります。
6度方向(ほぼ水平)の屈折力が弱い(角膜のカーブがゆるい)、96度方向(ほぼ垂直)の屈折が強い(カーブがきつい)ということは、下の図のように横長の角膜であることがわかります。
もともと私は細い目をしているのですが、角膜が横長だから目が細いのかな・・・・
この乱視を治すためのレンズが円柱レンズです。ここ数年で発売されました。こんなに良いレンズなのに、なんでもっと早く発売されなかったのか、と思うくらいです。
患者データ(これは私のデータですが)を入力すると、レンズの種類と、角度が計算されます。今回、もし私が白内障手術をするとすれば、97度の方向でレンズを固定すれば良いことになります。
もともと乱視がある人でも、乱視が減少することで裸眼視力(メガネなしでの視力)が期待できます。メガネなしで車の運転できる(視力0.7以上)と、とても嬉しいですね。当院では、術前検査で角膜乱視が強くて、乱視用レンズの適応がある患者さんにはこのレンズを用いております。
実際には乱視用レンズはレンズ代が通常の数倍もするのですが、患者さんの負担金額には変わりはありません。当院は、国が定めた白内障手術費用の中からレンズ代を出すので、高いレンズを使うと赤字になってしまいます。でも、患者さんに最善の医療をすることが、最終的には当院のためにもなるかと思ってこのレンズを使っています。小山市 結城市 筑西市 栃木市 下野市 古河市 栃木市 白内障手術 緑内障手術 もりや眼科