外傷性黄斑円孔
2015.08.24 網膜
本日は白内障手術15件 みなさん無事に終わりました。
本日手術したうちの一人は、「宇宙旅行しているみたい」に見えたそうです。もともど0.01の視力だった方なので、今まで見えなかったものが徐々に見えるようになったとは思うのですが、どのように見えたのか気になります。
余談ですが、患者さんの主訴で、「持病を持っている」というものがありました。この言葉に違和感を覚えたのですが、「馬から落馬する」という言葉が連想されたのだと思います。調べてみたところ、落馬と持病は言葉の種類が違うようです。落馬=馬から落ちる、ですが、持病=病気を持つ、ではありません。持病の意味は「慢性的な病気」の事なんだそうです。だから、「落馬する」とはいっても、「持病する」とはいいません。「持病を持つ」は正しいようです。一つ勉強になりました。
外傷性黄斑円孔
外部からの激しい衝撃で網膜の中心である黄斑がダメージを受けることがあります。私が研修医の時には、「サッカーボールのような大きいボールでは目に外傷が生じにくく、ゴルフボールのような小さいボールが危ない」と教わっていました。しかし、実際にはそうでもなくて、野球のボールやサッカーボールのように大きなボールで重症な眼外傷になる方を見てきました。
18歳の子供なのですが、サッカーボールが強く当たってから見えづらくなったという主訴で当院初診。当院に来院した時には、受傷して2週間経っていました。矯正視力は0.04でした。眼底検査を行ったところ黄斑円孔が生じていました。
早急に手術を行った方が良いと考え、硝子体手術を行いました。すると、手術後1週間で円孔が閉鎖していました。ただ、それでも視力は上がりにくくて、矯正視力0.04のままでした。
しかし、若いせいか徐々に視力が戻ってきています。手術後半年で0.2、今回手術後1年ですが、0.4まで回復しました。やはり若いと回復力が違います。下は最近のOCT。見た目は大きくは変わりませんが、視機能に重要なISOSラインが少し回復しています。
外傷後の経過は人それぞれで、みんなが同じように視力が上がるとは限りません。特に黄斑が障害されると視力がガクッとおちてしまいますが、このように少しでも視力が取り戻せればと思います。