もりや眼科

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糖尿病性ぶどう膜炎

2013.07.29

本日は白内障手術を9件行いました。
みなさん無事に終わりました。

糖尿病性ぶどう膜炎

 

糖尿病はさまざまな目の合併症を引き起こします。一番多いのは網膜症ですが、たまにぶどう炎を起こすことがあります。ぶどう膜は、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの部分の総称です。この場所は、炎症を起こしやすいことが知られています。ぶどう膜炎は、サルコイドーシスやベーチェット病などの病気に合併することが多いのですが、糖尿病が原因になることがあります。
糖尿病で生じるぶどう膜炎は、症状が激しいことが多く、前房(目の中の水)に強い炎症を生じ、フィブリン膜が張りだしてきます。
目の中に炎症があると、虹彩癒着といって、虹彩と水晶体がくっついてしまします。それを防ぐために、ステロイドの点眼をしながら、瞳孔を開いたり戻したりして動かすことで癒着をしないようにします。下の写真では、赤矢印のところで虹彩と水晶体が癒着しています。虹彩に癒着があっても新しいものであれば点眼だけで外れることもあります。

糖尿病性ぶどう膜炎2

また、目の中で炎症が起きていると、目の中の水(房水)のめぐりが悪くなって、眼圧が上がることがあります。この場合は、眼圧を下げる点眼をしながら、ステロイドの点眼で炎症を抑えます。

 

結局のところ、糖尿病が原因なので、原因となる病気をしっかり治療してもらうことになります。殆どの場合、糖尿病網膜症が合併しているので、レーザー治療を行い、網膜症を改善していくと、糖尿病性ぶどう膜炎も良くなっていることが多いです。

 

糖尿病性ぶどう膜炎は、白内障になることがありますが、ぶどう膜炎がしっかり落ち着いていないと、手術が原因でぶどう膜炎が再発してしまいます。約半年落ち着いているのを見計らって手術を行うと良いと思います。

 

糖尿病手帳と糖尿病眼手帳

2013.07.08

先日、当院開院1周年を迎えました。当初は待合もかなり空いていたのですが、現在ではいっぱいになることも出てきました。これについては後日改めて報告したいと思います。

本日は白内障手術を9件行いました。(乱視用レンズ3件、入院2件)
みなさん無事に終わりました。

糖尿病手帳と糖尿病眼手帳

 

糖尿病網膜症は、当然ながら糖尿病にかかってないと起こりません。また、糖尿病が重症で、期間が長いほど網膜症になりやすいことが分かっています。例え現在の血糖値が良い人でも、以前に悪かった人も要注意です。そのため、当院に来院される方は、糖尿病手帳の提出をお願いしています。現在の糖尿病の様子だけでなく、過去の様子も知りたいのです。

 糖尿病手帳

糖尿病手帳も、いくつか種類があります。内科の情報だけでなく、眼の状態も書けるようになっているものもあります。私は、これを渡されるとぱらぱらと見渡して、昔悪くなかったかを見ます。

 

当院で診察を受けた糖尿病網膜症の患者さんには、糖尿病眼手帳を渡しています。
糖尿病眼手帳
糖尿病眼手帳2

 

手帳を渡す理由は2つあります。一つは、患者さんに自分の眼のことをもっと知ってほしいということ。特に糖尿病網膜症に患者さんは、自分の病気に無関心の人が多いと思います。恐らく視力が下がるまでは、なぜ糖尿病網膜症が怖いのかわからないのだと思いますが、視力が下がってから初めてあわてる方が多いと思います。別のホームページの資料ですが、約半数の患者さんは、自分の糖尿病網膜症がどのくらいなのかが分かっていないそうです。

http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/019962.php

糖尿病網膜症は、糖尿病がよっぽど進まないと生じない病気です。そのため、少しでも網膜症が出てると言われた人は、全力で治す努力をしてもらいたいです。

 

もう一つは、内科の先生への連絡のためです。実は、糖尿病網膜症が生じた場合、糖尿病を急激に改善してはいけないのです。急に糖尿病を改善すると、あっという間に糖尿病網膜症が悪化することが時々あるのです。

 

糖尿病網膜症の治療(レーザー光凝固)

2013.07.01


今日は白内障手術10件(入院2件、乱視用レンズ3件)
睫毛内反症手術
1

無事に終わりました。

 
糖尿病網膜症の治療(レーザー光凝固)
 

前回のブログで、血液が不足した部分の網膜は新生血管を作る話をしました。新生血管は、緑内障や硝子体出血の原因となる悪いものです。

血糖を改善すれば、ある程度網膜の血液の流れを良くすることはできるのですが、そんなに簡単ではありません。眼科では、ある程度血液不足になった網膜に対してレーザー治療を行います。

 

このような器械を用います。

 眼底レーザー

また羊を用いたたとえですが、

①エサ不足(血液不足)になった羊(網膜)が暴動を起こしかけています。

 網膜羊飢えで凶暴になる

② 虚血(エサ不足)になった網膜(羊)には、レーザーで死んでもらいます。
網膜羊レーザーで射殺
 

③残った羊は、エサが十分にあるので満足するということです。
網膜羊生き残る
 

糖尿病網膜症を治す治療ですが、理屈を言うと網膜を一部死滅させているのに過ぎないのです。

レーザーを当てると、当初網膜は白っぽくなります。これはレーザー直後の眼底です。

 

レーザー跡 新しい 

この白い斑点は、時間とともに薄くなっていきます。
 

レーザー跡 1週後
1
週間すると、ぱっと見た感じレーザーの跡が分かりにくいくらいになります。この段階では、まだ糖尿病網膜症を沈静化する効果は現れません。
 

 レーザー跡 2ヶ月後

これはレーザーして2か月目の写真です。レーザーを当てた部分が灰色っぽくなっていることが分かります。このような状態になって、初めて糖尿病網膜症を抑える力が働いてきます。

糖尿病網膜症で網膜に起きる変化3(新生血管、硝子体出血)

2013.06.24

今日は白内障手術8件

霰粒腫1件行いました。難しい症例もありましたが、無事に終わりました。
 

 糖尿病網膜症で網膜に起きる変化3(新生血管、硝子体出血)
 

網膜は血液を大量に必要とするので、そのぶん血管が張り巡らされています。糖尿病網膜症で血管が傷むと、そのぶん血流が悪くなり、網膜に十分血液が行かなくなってしまいます。そうすると、血液の足りなくなった網膜は血液を手に入れるために血管を作り始めます。これを新生血管といいます。

 虚血

羊に例えると、上段は牧草(血液)が十分にあるため、羊(網膜)が満足している様子です。しかし、糖尿病が進むと牧草(血液)が減ってしまうので、羊(網膜)が怒り出してしまい、周囲にいろいろな悪さをするわけです。

 

以前お話した軟性白斑と同様、この新生血管が少しでも認められたら、糖尿病網膜症が活発であるサインです。そのため、積極的に治療を行わなければなりません。

 

新生血管は、できる場所によっては緑内障を引き起こすこともありますが、硝子体出血を引き起こすことがあります。硝子体出血とは、眼球内に出血してしまうことをいいます。

 224s 

眼の中は本来透明なのですが、ほんの少しの硝子体出血で濁ってしまいます。そのため、発症と同時に視力が急激に低下することが多いです。

 硝子体出血

 これが硝子体出血の写真です。眼球内にたまった血液のせいで、眼底がほとんど見えません。左上のほうだけ、少し網膜の様子がわかります。

 

 硝子体出血 術後 

これは、手術で出血を取った後の写真です。眼底がはっきり見えます。

糖尿病網膜症で網膜に起きる変化(硬性白斑、増殖膜)

2013.06.17

本日は白内障手術を7件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。

糖尿病網膜症で網膜に起きる変化(硬性白斑、増殖膜)

 

糖尿病になると、網膜の血管が傷むという話を前回しました。傷んだ血管からは、血液の成分が漏れ出てしまいます。漏れ出た成分が多くなると、体に吸収されずに網膜上に残ってしまいます。これを硬性白斑といいます。

硬性白斑

前回お話した、軟性白斑は「現在血液が足りてませんよ」という危険なサインでした。それに対して、硬性白斑は「血管が傷んでますよ」とは言えるものの、軟性白斑ほど危険なサインではありません。そのため、硬性白斑が増えていかないかどうかを見るだけで良いと思います。

あまり悪さをしない硬性白斑ですが、たまに黄斑上にでて視力をグッと下げてしまうことがあるので注意が必要です。

 

糖尿病網膜症が進行した場合、血液不足で網膜が死にそうになりながらも、なんとか助かろうと網膜が自己修復を始めます。この様な活動が活発になったとき、網膜の表面に増殖膜という膜が生じます。

この膜が生じたときは、とても危ないサインです。網膜の表面に生じた増殖膜は、段々縮んでいくという性質があります。そのために、網膜剥離をひっぺがしてしまい、網膜剥離になってしまうのです。

 増殖膜

青矢印の先が増殖膜です。増殖膜が網膜を引っ張っているので、網膜にシワが寄っています。これを見つけたら、硝子体手術をしなくてはなりません。手術で増殖膜を取ることで、網膜剥離をふせぎます。ただ、増殖膜と網膜はがっちりくっついていることも多く、手術の難易度は高いと言えます。

 

 

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