緑内障患者が日常で気をつけること
2012.12.10 緑内障
白内障手術2件
翼状片手術1件
眼瞼内反症手術1件
すべて無事に終わりました。
白内障手術は、乱視用レンズを用いたので、翌日の乱視がどれだけ減っているか楽しみです。
緑内障患者が日常で気をつけること
緑内障は眼科の中でもとても良く知られている病気で、かつ失明につながることもあります。そのせいか、「あなたは緑内障ですよ」と言われるとショックを受ける方が多いとおもいます。
それに対して、治療方法はとても地味で、一日数回の点眼薬をつけるだけ。薬によっては1日1回しか点眼をしない場合もあります。そのせいか、外来では良く「日常で気をつけることはありませんか?」とよく聞かれます。
現在、緑内障に対してエビデンス(研究で証明されている)のある治療方法は眼圧を下げることだけと言っても良いくらいです。そのため、普段の食生活や運動などの生活習慣が緑内障を予防したという報告はまだありません。ですから、我々眼科医は「点眼だけしっかりやってくれればいいですよ」と言うのですが、折角なので色々調べてみました。
適度な運動は眼圧を下げる
ある報告では、ジョギングをすると眼圧が約5mmHg下がったという報告があります。ですから、適度な運動をすると緑内障が進行しにくいかもしれません。
脱水状態で眼圧がさがる(効果は一時的です)
目の中はほとんど水でできていますので、体内の水分が減ると眼圧も下がります。先ほどのジョギングも、もしかしたらある程度の脱水が関係していたかもしれません。実は、飲酒はかなりの脱水作用があります。そのため、飲酒後もかなり眼圧が下がっているのです。
緑内障発作の患者さんに対して治療薬がなかった時代、スコッチを飲ませて対応した時代もあったそうです。(ただし、脱水状態は体にとってはかなり負担なことで、かつ眼圧を下げる時間はごく短いので緑内障治療として飲酒はしないでください)
水を大量に一気飲みすると眼圧が上がる
先ほどとは逆の状態です。普通に飲む分には影響はありません。
ネクタイを締めすぎても眼圧が上がる
あまりネクタイを締めすぎるとうっ血して眼圧が上がるようです。ただ、普通にネクタイをしている分には問題ありません。
うつむいていても眼圧があがる
少し説明しにくいですが、うつむくと水晶体が瞳孔を塞ぎやすくなって眼圧が上がるようです。
寝ると眼圧が上がる
最近この話は学会などでも話題になります。普段頭は高い位置にあるのが、寝たとたん体と同じ高さになるので、眼圧が上がるということです。ですから、眼科によっては、24時間眼圧と言って昼も夜も眼圧を測ることもあります。夜間に眼圧が上がっていれば、その時間に効くように点眼薬を付ける時間を工夫することもあります。私はこれを聞いて「そのうち立って寝る緑内障患者が出るのではないか?」と思っています。(緑内障患者さんはこれを読んでも、立って寝ないでください)
健康食品は基本的に無効
巷ではブルーベリーやカシスが目に良いと言われていますが、実際に目の病気の何かに効果があったという科学的な報告はありません。健康食品に緑内障治療効果が全くないかはわかりませんが、少なくとも現在使用されている緑内障薬と比較して極めて弱い作用しかないと思います。健康食品は「気休め」程度のものだと考えた方が良いと思います。
あまり神経質になりすぎない
今まで色々言いましたが、やっぱり日常生活ではあまり気をつけなくても良いと思います。
点眼だけしっかりして頂ければ、それ以上できることは無いと言っても良いと思います。
何となく緑内障は「細かい事を気にする」方が多い印象です。もしかすると、ストレスや悩みなどが緑内障を悪化させる一因なのかもしれません。
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2012.12.04 緑内障
本日は
白内障手術3件
すべて順調に終わりました。
今回は患者さん向けというよりは、若干専門的な話題です。
妊娠と緑内障(胎児に対する点眼薬の影響)
30代で緑内障になる方は少ないながらも珍しくありません。当然点眼治療をするわけですが、そういった方が妊娠すると少し厄介です。
胎児に対する点眼薬の影響は、実際に調べることができません。そのため、ほとんどの点眼薬の説明書には「胎児にたいする影響は不明」と書いてあります。アメリカのFDA(食品や医薬品を管理する機関)では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること」とされています。そのため、妊婦さんが緑内障点眼をするかどうかは最終的に医師が判断することになります。
FDAでは、薬ごとに危険度が定められています。ざっくりと説明すると
A:人間で危険でなさそう
B:動物実験では危険でなさそう。人間では不明
C:動物では有害作用が証明された。人間では不明
D:人間でも有害作用が確認
X:人間で有害作用が証明されているため、妊婦に使ってはいけないとされている
緑内障の点眼薬は殆どがCに属しています。ただし、同じCでも、理論的な危険性は異なります。点眼薬は目に対してだけではなく、全身に影響があるのです。
プロスタグランジン系:子宮収縮・胎盤血管収縮・動脈管収縮作用があるので危険
炭酸脱水素酵素阻害薬:奇形になりやすくなる
そのため、上記2種類は妊娠全期間にわたって使用しないほうが良いとされています。
ベータ遮断薬は比較的安全なようですが、それでも完全に安全とは言えません。特に妊娠後期や授乳期は辞めた方が良いとされています。乳を通して子にベータ遮断薬が移行すると心肺停止のリスクが増えるそうです。
一般的に妊娠すると眼圧がやや下がりますが、それでも点眼中止の影響で眼圧が上がった方もいらっしゃいます。妊婦に安全に使える点眼薬があれば良いのですが・・・
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緑内障の点眼を正しくつけましょう その③ 楽に点眼できる道具
2012.11.26 緑内障
今回は
白内障手術 8件(角膜混濁、前嚢石灰化)
硝子体手術 3件(糖尿病網膜症、黄斑前膜)
すべて無事に手術を終えました。
緑内障の点眼を正しくつけましょう その③ 楽に点眼できる道具
前回は点眼の方法について書きましたが、それでも点眼が上手くできない人は結構沢山いらっしゃいます。「点眼瓶を目の上に固定する」のは意外に難しいものです。手が震えてしまう方は、無理と言っても良いのかもしれません。そんなときは、簡単に点眼できる道具に頼るのもひとつの手段です。