点眼薬に入っている防腐剤
2013.01.22 緑内障
昨日はパソコンの調子が悪くて更新できませんでした。
良く調べると、ハードディスクの一部が読み込めないようです。直すの大変そうだな・・・
昨日は白内障手術を4件行いました。すべて順調に終わりました。
術後視力も良好で、本日とても喜んでいただきました。
点眼薬に入っている防腐剤
今回は点眼薬に入っている防腐剤について説明したいと思います。緑内障の点眼薬はほかの点眼薬と比べて、かなり長い期間点眼を続けることになります。角膜の丈夫な人は全然問題ありませんが、角膜の弱い人は防腐剤によって傷むことがあります。
点眼薬は開封した後で、腐らないようにする役割があります。たいていの点眼薬は、開封してから1か月程度は腐らないようにできていますが、飲みかけのジュースを1か月放っておいたら腐ってしまって大変なことになります。ですから、防腐剤は決して悪者ではなくて、大事な成分なのです。
防腐剤で角膜が傷むと、点状表層角膜症といって角膜に点々と傷がつきます。下の写真はフルオレセインという黄緑色の染色液を付けて、青い光を当てて診察したところです。本当は角膜の表面は染まらないのですが、角膜の表面全体に点状の傷がついているので良く染まっていることが分かります。
ドライアイでも、このような傷がつくことがありますが、傷のつき方が違うので区別できます。ドライアイの場合は角膜保護剤の点眼をすると治りますが、防腐剤による点状表層角膜症は、あくまで防腐剤が原因なので、角膜保護剤ではなかなか治りません。そのため、傷の原因をしっかり区別して治療することが必要になります。
緑内障の点眼薬の中で、β遮断薬を点眼すると涙の出る量が減ることがあります。そのため、点状表層角膜症を悪化させる要因になることもあります。
緑内障点眼薬について(交感神経を抑える薬:ベータ受容体遮断薬)
https:/moriyaganka.com/blog/12994106.html
緑内障点眼薬のなかには、防腐剤を工夫している製品もあります。そのため、点状表層角膜症が生じてしまった患者さんでは、点眼薬を変更して対処することもあります。
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緑内障が進むと免許がとれない?
2013.01.14 緑内障
今週は月曜日が祭日なので、手術はお休みです。来週からまた頑張りたいと思います。
緑内障が進むと免許がとれない?
小山市は車社会なので、生活する上で車の運転が必要という方が多くいらっしゃいます。しかし、運転免許証には視力の基準があるため、視力低下をした人は、運転免許の更新ができません。緑内障は末期には失明する病気なので、進行した緑内障では免許が更新できなくなります。でも、それはどのタイミングなのでしょうか?
法的な基準でいうと、両目で0.7の視力がでれば普通自動車免許が更新でき、運転できます。また、原付でも0.5で運転できます。
失明の原因第1位の緑内障ですが、多くのタイプで緑内障がある程度進行しても視力が保たれていることが多いのです。それは何故でしょうか?私たちは普段視野の中心あたりで物を見ます(固視点といいます)。視野の中心は、一番物を細かく見ることができるようになっています。従って、視野の中心が保たれている限り視力は殆ど低下しません。
緑内障は周辺から視野が欠けていくことが多く、そのため緑内障が進行しているにもかかわらず視力が出ていることがあります。(視野の中心が欠けてしまった場合は視力も急激に落ちることもあります)
緑内障も末期になるとかなり視野が狭くなりますが、どこまで視野が狭くなると運転ができなくなるかの基準はありません。視野が半分欠けると身体障害者6級の基準として認定されますが、そのくらい欠けていると例え視力があったとしてもかなり危ないと思います。視野が狭いということは、運転中に横から何かが飛び出してきても気がつかない、ということになり、交通事故のリスクになります。
法律で定められていない以上、どこまで視野が欠けたら運転を辞めるかは本人の意思次第ということになります。モラルの低い運転手による交通事故が問題視されている今日では、運転免許で視野の基準があっても良いと思います。小山市 結城市 筑西市 栃木市 下野市 古河市 栃木市 白内障手術 緑内障手術 もりや眼科
新生血管緑内障
2013.01.07 緑内障
本日は白内障手術を4件行いました。どれも無事に終わりました。
乱視用眼内レンズも多く使うようになってきました。術後に乱視が減って、眼鏡なしの視力が良いととても嬉しくなります。
新生血管緑内障
今回は特殊なタイプの緑内障についての話題です。
「新生血管緑内障」は、糖尿病網膜症や、網膜静脈閉塞症など、網膜の血液の流れが悪くなる病気で生じる、重症で治りにくい緑内障です。 糖尿病で網膜の血管が傷むと、血液の流れが悪くなります。網膜は血液不足状態になると「血液が欲しい」という信号(VEGFという化学物質)を出します。VEGFによって網膜に栄養を送るために新しい血管が作られます(新生血管)。
この「新生血管」はとても破れやすい血管で、網膜出血や硝子体出血などの原因になります。また、隅角(房水の出口)をふさぐことがあり、急に眼圧を上げてしまいます。
上の写真の赤矢印のところに新生血管が出来て、隅角を詰まらせてしまいます。
新生血管緑内障では、虹彩をよく見ると血管を見ることができます。下の写真の赤丸のところです。小さい血管なので少し見にくいかもしれません。
この写真の方は、通常は20mmHg前後である眼圧が、50mmHg以上になってしまいました。このまま放っておくと直ぐに緑内障が進行してしまうので、直ちに眼圧を下げる必要があります。
眼圧を下げるために、点滴や内服薬がありますが、どれも効果は一時的なものでしかありません。隅角を塞いでいる新生血管を治さないとなかなか眼圧は下がってくれません。
レーザー治療を行うと、網膜が必要とする血液の量が減って、血液不足状態が解消されますが、効果が現れるまでに数ヵ月以上の時間がかかります。 ほんの数年前までは、直ぐに新生血管をなおす方法がなかったので、この段階で緑内障の手術を行ったりしていました。しかし、新生血管緑内障における緑内障手術の成績は他の緑内障と比較して芳しくなく、眼圧が再上昇することも良くありました。
近年開発された、「抗VEGF抗体」は分子標的薬という新薬で、新生血管の原因となっているVEGFだけをやっつけることの出来る薬です。VEGFが減ることで、新生血管も速やかに減らすことができるのです。
先ほどの新生血管の出ていたかたは、注射した翌日には新生血管がすっかりなくなっており、眼圧も15mmHgに下がっていました。最終的に新生血管が再発しないようにするためには、レーザー治療が必要ですので、後日実施しました。新生血管緑内障は重症な病気なので、なかには手術が必要な症例もありますが、この症例のように、手術をせずに治療できることも多くなりました。 小山市 結城市 筑西市 栃木市 下野市 古河市 栃木市 白内障手術 緑内障手術 もりや眼科
OCTによる緑内障診療
2012.12.27 緑内障
いよいよ明日で今年の診療も終わりです。
先日、ついに当院の患者番号が1000番をこしました。100番ごとにたどってみると、12月は2週間と少しで100番が過ぎていました。徐々に初診患者数が増えているようです。これからも質の良い診療を心がけますので、よろしくお願いいたします。
当ブログも今年はこれで終わりです。来年もよろしくお願いいたします。
OCTによる緑内障診療
前回の続きのお話です。OCTは網膜の厚みを数字で示すことができる器械です。
緑内障は神経が傷む病気ですから、緑内障が進行するとともに網膜が薄くなっていきます。しかし、網膜が全体的に薄くなっていくのではなくて、ある法則に従って薄くなっていきます。
上は網膜の模式図です。青矢印の視神経乳頭と言われるところから網膜の血管が出入りしていますが、それと同じように網膜の神経線維も通っています。
同じく、青矢印は視神経乳頭です。緑内障の場合はこの神経線維が痛むので、網膜が薄くなるのも神経線維毎に生じます。下の写真はOCTで撮った画像になります(右眼のデータなので、上のイラストとは左右逆になります)。
画面左上、「正常眼データベース」と書いてありますが、これは視神経乳頭周囲の網膜の厚みが正常と比べて薄くなっているかどうかを判定したものです。視神経乳頭の下方や左上の方で薄くなっているのがわかります。「Clock Hour」とあるのが、視神経乳頭周囲でそれぞれの方向での網膜の厚みを表しています。緑内障の場合、まず視神経乳頭の上方や下方から薄くなることが多いので、初期の緑内障判定に有用です。
また、図の左側(耳側)の網膜が薄くなると、黄斑と呼ばれる大事な部分が傷むことがあり、視力低下の原因になります。そのため、この部分が薄くなるかどうかは注意して診る必要があります。
緑内障では、視野が欠ける前にまず網膜が薄くなると言われています。そのため、視野異常が出ていなくてもOCTで緑内障かどうかをある程度判断することができます。 通常の診療では、緑内障の程度を調べるためにはC/D比というものを調べています。視神経乳頭の大きさと視神経乳頭の窪みの大きさを比で表したものです。 ここまで正確に記録が残っていれば、1年後や5年後、10年後と比較して、緑内障が進行しているかどうかをかなり正確に判断できると思います。 OCTを緑内障で活用するのはまだ最近始まったばかりで、現在データを集めて検証している段階ですが、以前の緑内障診療とはガラッと変わりました。
以前記事を書いたので、参考までに。https:/moriyaganka.com/blog/17581954.html
カルテにはC/D比がいくつとカルテに記載するのですが、この比率は定規やコンパスで計測したものでないため、精度に劣る感じが否めません。そのため、前回0.6だった人が今回0.7だとしても、それは急に緑内障が進行したということは言えませんでした。今回紹介したOCTは、網膜の厚みを数値化するため、網膜が薄くなっているかどうかを高い精度で調べることができます。実際に、上の写真ではC/D比(水平)0.70で、下2ケタまで表示されています。
OCT(光干渉断層計)について
2012.12.17 緑内障
本日は手術納めでした。
白内障手術1件
眼瞼内反症手術1件
無事に終わりました。
開業して7ヶ月ですが、徐々に小山市民にもりや眼科が浸透していることを実感します。
患者さんがお友達を連れて一緒に来ていただいたこともありましたし、
駅前を見づらそうに歩いていたら、通りがかりのひとに「もりや眼科に行きなさい」と勧めてもらったという人もいらっしゃいました。来年もさらに研鑽を積んで、地域に貢献できればと思います。
もりや眼科 平成24年 治療実績
(H24年7月~H24年12月)
・観血的手術 合計 97眼
・白内障手術 81件
・網膜硝子体手術 7件
・眼瞼(まぶた)の手術 7件
・結膜の手術 2件(翼状片)
・レーザー手術 合計 15眼
・網膜光凝固術 13件(糖尿病・網膜裂孔に対するレーザー)
・YAGレーザー 2件(後発白内障に対するレーザー)
・抗VEGF薬 硝子体注射 合計 2眼
糖尿病黄斑浮腫に対する注射(アバスチン)
来年はさらに頑張りたいと思います。
OCT(光干渉断層計)について
ここ数年で急激に眼科に普及した、OCTという装置について話したいと思います。
OCTは光を使って目の中の様子を観察する機会です。仕組みは超音波エコーと似ています。
超音波エコーの仕組みですが、プローブから超音波が出て、モノに当たって跳ね返ってくる超音波を受信します。超音波が出てから帰ってくるまでの時間を測る事でモノまでの距離が分かります。
OCTでは、モノに対して光を放ち、それが反射して帰って来るまでの時間を測ります。光は超音波と違って、透明でないものは計測できません。しかし、目は角膜・水晶体・硝子体が透明なので、眼底を検査することができるのです。OCTは超音波よりも精度や情報量が多いという特徴があります。
OCTの登場で、網膜(カメラでいうフィルム)の様子を詳細に観察することができるようになりました。
たとえば、下の写真は黄斑浮腫の患者さんです。
左下の赤丸の部分を見ると、中央部分(黄斑)がむくんで、分厚くなっているのが分かります。その上の図、青矢印をみると、分厚くなっている部分は赤や白で表示されているのが分かります。また、右上の赤矢印をみると、網膜の厚みが635μmであることも分かります。
今までの通常の診察では「黄斑が浮腫で厚くなっている」くらいしか分からなかったのが、正確に635μmむくんでいるというのが分かるのです。
ちなみに、先ほどの患者さんが次に来院した時のOCTが下の図です。
字が小さくて申し訳ありませんが、前回635μmだったのが602μmに減っています。また、左の図の白い部分(むくんで分厚くなっている部分)が少し減っていることが分かります。ここまでわずかな変化は従来の診察ではわかりませんでした。
緑内障でも、進行とともに網膜の厚みが減っていくことがわかっています。
そのため、OCTを緑内障の診療に用いることで、より詳細な診療を行えるようになってきました。次回これについてお話をしようと思います。小山市 結城市 筑西市 栃木市 下野市 古河市 栃木市 白内障手術 緑内障手術 もりや眼科