もりや眼科

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視野について

2012.08.10

いよいよお盆のじきですね。当院も来週月から水曜日(8月13-15)までお盆休みをいただきます。

視野について

 

今日は視野について説明したいと思います。

 

時々サッカーの試合を見ていて思うのですが、プロのサッカー選手はとても広い範囲が見えています。本人の顔の向きと違う方向に的確にパスをしたり、後ろから来た敵をかわしたりします。

ただし、人間の見えている範囲(視野)は左右で180度程度と決まっています。プロのサッカー選手も視野の広さは同じです。人間は両目とも正面についているので、構造上これ以上はあまり大きくなり得ないようです。それに対して、羊の視野はとても大きく、300度以上に及ぶこともあります。これは、羊の目が横向きについているためです。

 

人間は視野が狭いぶん、両目で見える範囲が広いです。両目でモノを見ると、立体的に見ることができるというメリットがあります。それに対して羊は広い範囲見えますが、立体的に見える範囲はとても少ないのです。

 

緑内障という病気は、視野が狭くなる病気です。

正常な人であれば、下の図のように視野は広いのですが、

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視野の欠け方は十人十色ですが、緑内障の進行とともに、視野が少しずつ狭くなってしまいます。

 
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緑内障の末期になると下の図のように、ごく狭い範囲しか見えなくなります。

 
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しかし、緑内障の末期の患者さんでも視野が狭くなったと気づかないことがあります。何故かというと、目をきょろきょろ動かりたり、顔をまわすことによって色々な方向に目を向けることができるからです。

 

プロのサッカー選手の視野が広いのは、目や顔を頻繁に動かして広い視野を確保しているのでしょう。

 

当院では緑内障の患者さんに対して視野検査を行います。当院では視野計のなかで一番歴史のある「オクトパス」という製品の最新のものを導入しています。

視野計

 

青い部分に顔を乗せると、片目7分程度で視野を計測してくれます。

どのようにして視野を計測するのかは、また後日紹介したいと思います。

 

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緑内障点眼薬について(炭酸脱水素酵素阻害薬)

2012.08.06

今日は手術日でした。

水晶体再建術 6件
皆さん無事に手術を終えました。
件数が徐々に多くなってきましたが、スタッフがよく動いてくれるのでスムーズに手術を終えることができました。

緑内障点眼薬について(炭酸脱水素酵素阻害薬)

「炭酸脱水素酵素阻害薬」なんて、難しい名前の薬ですね。この薬は房水を作るときに必要な酵素の働きを抑える薬です。つまり、毛様体(下の図の赤丸)による房水の産生量を減らすことで眼圧を下げます。

 

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今まで紹介した2種類(プロスタグランジン系、ベータ受容体遮断薬)と比較してやや眼圧を下げる効果が低いので、どちらかというと補助的に処方されることが多いです。

 

この種類の点眼薬には、トルソプト、エイゾプトがあります。

 

eizopt
トルソプト


 

炭酸脱水素酵素阻害薬の特徴

 

他の点眼薬と相性が良い

プロスタグランジン系、ベータ受容体遮断薬とは眼圧を下げる仕組みが違うので、同時に使用すると、より眼圧を下げます。そのため、1種類の点眼では眼圧がうまく下がらない時に使いやすい薬です。

 

全身の副作用が少ない。

女性の場合、目の周りが黒ずむ副作用のあるプロスタグランジン系は使いにくいし、かと言って心臓や肺に病気を持っている人はベータ受容体遮断薬も使いにくい・・という場合に炭酸脱水素酵素阻害薬は使いやすい薬です。

 

眼圧の仕組み

2012.07.17

開院以来、小山市だけではなく、結城市や筑西市、遠くはつくば大学で診ていた患者さんまで来院していただいております。遠くから来ていただいて非常にありがたいと思います。
来週からは手術も始まるので、しっかりとこなして行きたいと思います。




眼圧の仕組み



目の中には「房水」と呼ばれる水が入っています。房水の水圧の事を「眼圧」といいます。例えて言うなら、ボールの中に入れる空気の圧力のようなものです。緑内障治療では、眼圧をいかに管理するかが大事ですから、まずは眼圧を理解することが重要です。
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房水は、目の前のほうで作られたり、排出されています。上の写真の赤い部分を拡大したのが下の図です。



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 ①房水は虹彩(目の茶色い部分)の裏にある、毛様体(上の図:赤い丸の部分)で作られます。

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 ②作られた房水は、赤い矢印のように、瞳孔から虹彩の前に出てきます。

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③最終的に房水は、赤い矢印の部分から目の外に出ていきます。



眼圧は①の房水産生量と③の房水排出量のバランスで決まってきます。房水が目の中を正常に流れていれば、眼圧は正常に保たれますが、この経路のいずれかに障害があると眼圧が上昇します。眼圧が上昇すると視神経が障害をうけて、緑内障が進行します。



眼圧が上がる病気や、緑内障の治療方法の説明は大体①から③を使って説明できますが、それぞれ後日一つづつ説明していきたいと思います。


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緑内障になりやすい人(緑内障のリスクファクター)

2012.07.12

緑内障になりやすい人(緑内障のリスクファクター)

私が外来で緑内障患者を診療していて、良く聞かれることがあります。
「血圧が高いから緑内障になったのか?」
「緑内障は遺伝するのか?」
「母が緑内障なので、自分も緑内障になりやすのではないか?」
実際にこのような質問をする患者さんは、身の周りに進行した緑内障の方がいらっしゃることが多く、「自分も同じようになったらどうしよう」と強く心配していることが多いです。
このような方にはなるべく正確な情報を伝えたいところですが、実際には、どうなのでしょうか?

緑内障は多因子疾患(原因が一つではない病気)と言われています。
緑内障は眼圧が最も大きな要因であることが知られていますが、実はそれだけではありません。
視神経の血流、近視の程度、全身病(糖尿病など)、遺伝なども関係があると言われています。

眼圧についてですが、眼圧が21mmHg以上になると、緑内障になりやすくなると言われています。
大まかに言うと、下の通りになります
・眼圧が24mmHg以上の人は、16mmHg以下の人と比べて10倍以上緑内障になりやすい
・眼圧が25mmHg以上の人は、20mmHg以下の人と比べて5倍以上緑内障になりやすい
これらの結果は海外の報告なのですが、日本では眼圧が21mmHg以下で緑内障の有病率が多い事がわかっています。

眼圧が21mmHg以下で緑内障になった場合、「正常眼圧緑内障」と言われていますが、その場合でも眼圧を下げたほうが緑内障が進行しにくいことがわかっています。
・正常眼圧緑内障は、眼圧を下げないでいると、5年間で60%の患者は緑内障が悪化する。
・正常眼圧緑内障の場合、もとの眼圧より30%眼圧を下げると、5年間で80%の患者は緑内障が進行しない。
結局のところ、はじめの眼圧が高かろうが低かろうが、眼圧を下げたほうが良いということになります。
眼圧を下げる方法については、また別で書こうと思います。

遺伝については、特殊なタイプの緑内障以外であれば、遺伝の影響はそう強くない印象です。
・双子の場合、一方が緑内障を発症していると、もう一人にも10%の割合で緑内障
・緑内障の患者は16%の割合で家族内に緑内障がいる
外来では、家族内に2人以上の緑内障患者がいなければ、そんなに心配しすぎなくても良いですよ。と言っています。
たまに緑内障をチェックする事さえ怠らなければ、過度に心配することもないと思います。

血圧に関しては、なんとなく血圧が高い人は眼圧が高くなりそうなイメージですが、実際はそうではありません。
目の中の水は「房水」と呼ばれていますが、これは「血液の透明な成分が目の中に入ってくる」訳ではなく、
目の中の細胞(毛様体無色素上皮)が血液をもとに作り上げたものです。
ですから、血圧が高くなったからと言って、房水が沢山作られるというわけではありません。
血圧が高くても、逆に低くても緑内障になりやすくなるという報告はありますが、そんなに強くは関係していません。ですから、緑内障の患者さんに「緑内障ですから血圧を下げましょう」と指導することはありません。

その他には、高齢、女性、偏頭痛があると緑内障になりやすいと言われています。
当てはまる人は、一度緑内障の検査をしても良いかもしれませんね。

ものが見える仕組み(緑内障での視野の欠け方)

2012.07.10


ものが見える仕組み(緑内障での視野の欠け方)


私たち眼科医は、患者さんに目の仕組みを説明するとき、良くカメラに例えます。目の中には網膜(もうまく)と言って、カメラのフィルムに相当するものがあります。(下の写真の黒矢印の部分です。)


網膜
目に入った光が網膜に当たることで光を感じることが出来ます。下の図のように、下から入ってきた光は、上の方の網膜に当たることになります。ですから、視野検査で下の方が見にくい、という結果が出た場合、網膜の上の方が傷んでいるということになります。

写真 12-07-10 19 34 56


網膜は文字通り「膜」ですが、実は神経線維の集まりです。網膜の神経は、下の図の黄色の矢印のように視神経に向かって伸びています。網膜にある動脈(赤色)、静脈(青色)とほぼ同じように神経線維が伸びています。

写真 12-07-10 22 16 53


下の図は、緑内障の人の視野検査の結果です。緑内障の視野は、このように水平線でくっきりと境界線ができることがあるのが特徴です。網膜神経線維は視神経よりも上と下で別々の神経ですからこのような境界線が生じます。水平線より上側の視野が欠けた場合、網膜の下側(図の黒で囲った部分)が障害されているということになります。



 

 緑内障の視野緑内障の視野1

 

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