両眼同時白内障手術の安全性
今週は白内障手術を16件行いました。(乱視用レンズ5件)
皆さん無事に手術を終えました。忙しくて先週ブログを更新できませんでした・・なるべく色々書きたいと思います。ちなみに先週は白内障手術15件行っていて、これも経過良好です。(うち多焦点2件)
両眼同時白内障手術の安全性
当院では開院時から両眼同時手術を行っていて、もう当たり前になっています。両眼に白内障があって、片眼ずつ手術する人は2ヶ月に1人くらいでしょうか。両眼手術はいいことづくめです。
患者さん:手術費用が安くなる
検査の回数が減る
通院回数が減る
当院としては、受診患者数がへるので若干の減益にはなるのですが、それでも患者さんに喜んでもらえるメリットの方が大きいと判断しています。安全性に関しては、もう術者次第なんでしょう。ただ、当院の手術件数は県内でもかなり多い方で、全く問題ないと判断しています。
もちろん、白内障にも難しい症例もあるので、そのような場合には両眼同時希望であっても、片眼ずつ手術を行います。
両眼白内障手術の安全性について調べる機会があったのですが、このような論文がありました。
Ophthalmology. 2017 Aug;124(8):1126-1135. doi: 10.1016/j.ophtha.2017.03.034. Epub 2017 Apr 21.
Immediate Sequential vs. Delayed Sequential Bilateral Cataract Surgery: Retrospective Comparison of Postoperative Visual Outcomes. Herrinton LJ1, Liu L1, Alexeeff S1, Carolan J2, Shorstein NH3.
という英語の論文です。とても権威のある眼科の論文雑誌です。両目に白内障があったときに、同時に手術するのと、片目ずつ手術するのとどっちが安全でしょう?というのを調べた論文です。1万人以上の患者さんで調べました。
合併症は片目ずつ手術した方が、両目同時よりも少し多かった
視力が1.0以上出た割合は、両目同時手術の方が良かった
ピントが上手く合う割合も両目同時手術の方が良かった
感染症(眼内炎)は両眼同時手術で1万494眼中1眼、片眼ずつで3万8736眼中2眼。両眼ともの眼内炎は無かった
ということでした。当院でも同じような印象です。患者さんの利益になることはどんどんやっていきたいと思います。
別件ですが、当院のブログは「眼科 ブログ」で検索すると2番目に出るようです。そこそこみんなの役に立っているのかも知れません。
ESCRS(ヨーロッパ白内障屈折手術学会)に参加してきました。
今回は白内障手術14件
無事に終了しました。
ESCRS(ヨーロッパ白内障屈折手術学会)に参加してきました。
9月末から先日までお休みを頂き、ポルトガルで行われたESCRSに参加してきました。
最新の手術器械・検査器械が多数並んでいて、とても勉強になりました。
↑会場前
↑涙の濃度を測る機械。ドライアイの診断に使うようです
広角眼底カメラ。これは日本でも発表されていて、近々発売予定だそうです。
日本人の発表もいくつか見ましたが、いくつかは優秀賞をとっていました。素晴らしいですね。
眼内レンズもいろいろな種類が出ているようで、技術の進歩を感じました。
日本からきている眼科医と多く知り合えたのも収穫でした。今後の診療に活かしたいと思います。
新しい多焦点眼内レンズ AMO社 symphony
2017.08.21 白内障
本日は白内障手術15件
結膜弛緩症手術1件
無事に終わりました。
先週もICLの手術を行いましたが、術翌日裸眼視力が両眼で1.5!!とても喜んでいました。
自分も同じ手術を受けているので、患者さんの立場になって説明ができます。今回の方はHole ICLの穴は自覚しないそうです。私は強いダウンライトが当たったときに何となく光の輪が見えるのですが、個人差があるようです。
新しい多焦点眼内レンズ AMO社 symphony
以前までの多焦点眼内レンズは「遠くも近くも良く見える」と謳っていたのですが、実際には多焦点性をしっかり持たせようとすると「遠くも近くもぼんやり」という状態になったり、中間距離が見えづらくなったりと欠点も目立ちました。そのため、最近のトレンドは「遠くと近くがみえる」というのが主流になりつつあります。その分全体的な霞みがあまり感じられなくなるようです。
最近発売されたHOYA社のsymphonyは単焦点と多焦点のメリットを融合させた新しいタイプの多焦点眼内レンズです。従来の多焦点眼内レンズの欠点であった、ハロー、グレアを大幅に減らすことができているようです。
実際に使用している眼科医から、これはとても良いですよ、と言う話を伺いました。当院では9月に実施予定なのですが、患者様の反応が楽しみです。
5周年を迎えました
今回は白内障手術を14件行いました。(うち入院2件、乱視用レンズ5件)
緊張が強い、と事前におっしゃった方がいらっしゃったので、やや深い麻酔を行いました。
皆さん無事に終わりました。
5周年を迎えました
もりや眼科は平成24年7月2日に開院しました。今回5周年を迎えることができました。
以前は筑波大学で勤務していたため、周囲からの知名度はほとんど無い状態からのスタートでした。
いまでは小山市の地域の方に支持されているクリニックになってきたと思います。さらに患者さんに満足度の高いクリニックを目指したいと思います。
下の写真はスタッフやお世話になっている方の前で私がプレゼンテーションをしている写真です。
白内障手術後の視力を予測する(網膜電図)
2017.06.26 白内障
本日は白内障手術を12件行いました。皆さん無事に終わりました。
白内障手術後の視力を予測する(網膜電図)
進行した白内障があるときに行う検査があります。ERG(網膜電図)です。
これは、網膜(カメラで言うフィルム)の機能を測るものです。通常は白内障手術の前に眼底検査を行って、網膜に問題が無いかどうかを評価します。網膜に異常があれば、白内障手術をしてもうまく視力が上がらないかもしれません。
白内障があまりにも進行している場合には眼底検査ができませんので、手術をして視力が上がるかどうかが評価できない事になります。
以前手術していただいた方の眼底写真です。まったく眼底が見えないのでこのような写真になります。
眼底の評価ができなかったため、網膜電図を行いました。
左の2つが今回手術をしない目で、右の2つが今回手術する目の波形になります。右の2つの波形がほとんどフラットになっています。これは、光をあびさせても網膜が反応しない事を示しています。白内障の影響で網膜まで光が届きにくいという影響もありますが、それだけではこのような波形になりません。そのため、患者さんには「手術しても視力が上がりにくいかもしれません」と説明して、ご納得して手術を受けていただきました。
白内障が大変進行していたので難しかったのですが、無事に手術ができました。上は手術後の眼底写真です。網膜の血管がほとんど見えなくて、血液があまり流れていない事が分かります。網膜色素変性症という病気によって網膜自体がだめになってしまっています。白内障はとてもきれいに出来たので、少しだけですが視力があがりました。
当院で手術する以上は、ご納得して手術を受けていただきたいと思っていますので、手術前の検査がとても重要です。