多焦点眼内レンズの特徴③ 多焦点眼内レンズが使える人と使えない人
2012.11.29 白内障
本日は当院スタッフに、私の先輩のクリニックを見学してもらいました。
とても繁盛しているクリニックで、沢山勉強してきたようです。
より良いもりや眼科づくりに励みたいと思います。
多焦点眼内レンズの特徴③ 多焦点眼内レンズが使える人と使えない人
多焦点眼内レンズは確かに「遠くと近くが見えるレンズ」なのですが、万能のレンズという訳ではなく、欠点もあります。それを理解していないと「自由診療で高いお金を出したのに希望どおりの見え方にならなかった」ということになってしまいます。
① すべての距離ではっきり見えるわけではない
これは前回お話しましたが、多焦点レンズのピントは2つ(遠くと近く)です。そのピントに合っているところははっきりしますが、そこから外れるとピントが甘くなります。遠くのピントは、少しずれるだけでぼやけることがあります。術直後はピントがしっかり合っていたとしても、時間とともに少しずれてしまうこともあります。そのため、運転する方のように、遠くの視力を必要とされる方はメガネをかけた方が良いこともあります。
中間距離(家でテレビを見るくらいの距離)もややピントが甘くなることがあります。また、近すぎても見えにくくなります。もともと近視が強かった方は、目の近くで物をみる癖がある方が多いですが、多少離した方が見やすくなります。
② メガネが必要な人もいる
単焦点眼内レンズで9割程度の方が術後メガネを必要とするのに対して、メガネが必要な割合はかなり少ないのですが、それでも1割程度の方はメガネを使っています。多焦点眼内レンズはメガネの依存率が減るレンズではありますが、必ず不要になるという訳でもありません。
③ 夜間の運転が難しくなる(対向車のライトがまぶしい)
通常の単焦点眼内レンズ白内障手術をしても、術後にまぶしいと訴える方は10人に1人くらいいらっしゃいます。これは、濁った水晶体がきれいになるためで、大体の方は時間とともに慣れていきます(もしくは、サングラスをかけていただいております)
多焦点眼内レンズでは、単焦点眼内レンズうよりまぶしく感じやすかったり、対向車のヘッドライトがにじんで見えたりします。そのため、夜間運転が多い方にはお勧めできません。
④ 他の目の異常がある
例えば、ある程度乱視がある方はこの多焦点眼内レンズは使用できません。術後に乱視を矯正するために結局メガネが必要だからです。その場合は乱視を矯正する眼内レンズを使用(保険適用)します。緑内障や糖尿病網膜症、その他の目の病気で術後メガネの無い視力良くなさそうな方も対象にはなりません。
⑤ 性格
あまり科学的ではないのですが、「細かい性格」の方も適応になりません。なぜなら、この眼内レンズは「眼鏡が無くても近くも遠くも見える」レンズですが、まだまだ「万能の眼内レンズ」にはなっていないからです。見え方の質にこだわるときは、メガネをかけてでも単焦点眼内レンズの方がクリアだと思います。そのため、あまり細かいことにこだわらない「大らかな性格」の方にこの多焦点眼内レンズは向いると言われています。患者さんの視点で考えると「より良く見えたいから高いお金を出す」と思いがちですが、このレンズはあくまで「メガネの依存度が減るレンズ」だということです。
多焦点眼内レンズの手術代が高いからと言って、すべての面において単焦点眼内レンズを上回っている訳ではありません。
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多焦点眼内レンズの特徴①
2012.11.15 白内障
白内障の手術がコンスタントに増加しているのですが、その中に多焦点眼内レンズについて興味のある方がちらほらでてきました。今回から、当院で行っている多焦点眼内レンズを使用した白内障手術について書きます。
多焦点眼内レンズの特徴①
白内障手術で取り出した水晶体の代わりに挿入する人工のレンズ(眼内レンズ)には、いくつかの種類があります。ピントが一つである単焦点眼内レンズは保険適応のため、比較的安価に手術を受けることができます。
それに対して、多焦点眼内レンズは保険適応でないため高価ですが、適応があれば近くも遠くもよく見える高機能眼内レンズです。
もともと若い人は水晶体が柔らかいので、近くを見るときは厚くなり、遠くを見るときは薄くなることができました。その結果、近くも遠くもはっきり見ることができたわけです。
単焦点眼内レンズはピントを合わせる調節力はありません。そのため、遠くにピントを合わせると近くが見にくくなり、近くに合わせると遠くが見えにくくなります。そのため、殆どの方で術後メガネが必要になります。
多焦点眼内レンズは、単焦点眼内レンズと異なり、遠くと近くの両方にピントを合わせることが出来ます。そのため、メガネが無くても遠くの風景や近くの文字が見えるようになります。ただし、よりはっきり見るために、メガネをした方が楽に感じることはあります。およそ1割程度の方が術後メガネを使用しています。メガネを使用している場合でも、多焦点眼内レンズではメガネをつける回数が少なくて済むので、活動的な生活が送りやすくなります。
このように、多焦点眼内レンズはとても良い眼内レンズですが、若い人の見え方と同じ見え方になる、というわけには行かないようです。多焦点眼内レンズの特徴は次回説明したいと思います。
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糖尿病と白内障の関係
2012.11.08 白内障
糖尿病と白内障の関係
糖尿病は、血液中の糖分が異常に多くなる病気で、日本には約700万人もの患者がいると言われています。 眼科としては、失明の原因の2位という大変な病気です。糖尿病があると、網膜(カメラで言うフィルム)の血管が傷みます。 糖尿病網膜症の方が白内障になると、そのうち眼底検査(網膜の診察)がしづらくなってきます。また、網膜症が悪化したときに行うレーザー治療もしにくくなります。そのため、ある程度白内障が進行した場合、網膜症の診療も考慮して早めに手術をする場合もあります。 白内障手術は本来視力を上げるための手術ですが、網膜症が悪い場合視力が上がりにくいことがしばしばあります。白内障で治療する水晶体はカメラで言うレンズ、糖尿病網膜症で傷む網膜はカメラで言うフィルムです。視力が出るためには両方とも良い状態であることが必要です。たとえ網膜症が悪くて視力が上がりにくいと分かっていても、白内障があまりに進んでいると網膜症の診療が行えないため、敢えて白内障手術を行うこともあります。 小山市 結城市 筑西市 栃木市 下野市 古河市 栃木市 白内障手術 緑内障手術 もりや眼科
水晶体には血管は無いのですが、糖尿病でソルビトールという糖の一種が水晶体に蓄積しやすくなります。水晶体に蓄積したソルビトールが水晶体の混濁を引き起こすことで白内障になります。そのため、一般的に加齢で生じる白内障よりも若い年齢で白内障になります。50代で白内障になることもしばしばあります。
落屑症候群と白内障手術
2012.10.29 白内障
先週は金曜日から臨床眼科学会に参加しました。
クリニックを休診にして、大変申し訳なかったですが、ここで仕入れた知識を用いて明日からの診療を頑張りたいと思います。
本日は白内障手術を9件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
手術は多くなってきましたが、1例1例丁寧に手術をこなしていきたいと思います。
特に、術後の屈折(近視や遠視)の度数合わせがとても良いので、このままの状態を維持できるよう頑張りたいと思います。
落屑症候群と白内障手術
今回は落屑症候群が白内障手術に与える影響について話します。先日落屑緑内障(PE glaucoma)についてお話しました。目の中にフケのようなものができて、それが房水の出口に詰まって眼圧が上がり、緑内障になるというものです。
このフケのような物質はチン小体を弱くすることが知られています。下の写真で、瞳孔のふちに白くついているのが落屑物質です。
前回お話したとおり、チン小体は水晶体を固定している役割があります。これが弱いと、手術中にチン小体が切れることがあります。チン小体が切れると、水晶体ごと目の奥に落ちることもあり、手術が大分難しくなります。
実際にチン小体が切れて、水晶体が落ちかけている写真です。このようになってしまうと、もう普通には手術できません。眼内レンズ縫着など、特殊な手技が必要になります。
落屑症候群の方は、緑内障に注意するだけでなく、白内障手術に対しても注意が必要です。
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目の構造について(チン小体)
2012.10.22 白内障
本日は
白内障手術 7件
すべて無事に手術を終えました。
明日の視力計測が楽しみです。
さて、先日もお伝えしましたが、今週末は臨床眼科学会という眼科の大きな学会があります。
最先端の情報を勉強しに行ってまいります。そのため、大変申し訳ありませんが、10月26.27日は休診とさせていただきます。
目の構造について(チン小体)
今回は目の構造についての話です。
おさらいですが、白内障は水晶体が濁った状態のことでした。
この水晶体ですが、チン小体という筋肉で吊るされているという構造をしています。
この部分がチン小体です。チン小体の役目は、水晶体を支えることですが、水晶体の厚みを変えることでピントの調節もできます。
チン小体は水晶体を押し込む方向で力が働きます。つまり、水晶体のレンズの度数を上げたい(近くを見たい)時にはチン小体によって水晶体の厚みが増します。
白内障の手術は、水晶体を削りながら吸い出していくという手術なのである程度チン小体に負担がかかります。進行している白内障(硬い白内障)では、その分削り出すときに余計にチン小体に負担がかかります。また、「落屑症候群」の方は、チン小体が弱くなっていることが知られています。術前の診察でこれが見つかった時には慎重に手術を行います。
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