角膜に傷ができたり治ったりする病気。(再発性角膜上皮びらん)
2014.06.09
本日は白内障手術10件(うち乱視用レンズ4件)
硬い白内障が多かったり強度遠視の人もいましたが、無事に手術が終わりました。
白内障が強い分、視力の伸びしろが多そうです。
角膜に傷ができたり治ったりする病気。(再発性角膜上皮びらん)
ある日、若い男性が受診してきました。
「10か月前に葉っぱで目を切ってから、ずっと痛い」と言うのです。普通、外傷の場合は数日で傷が治ることが多く、それ以上長い場合は感染症などがかかわっていていることが多いので悪化することが多いのです。そのため、10か月ずっと痛いという状態は普通ではありません。診察しても、角膜には全く傷がなくありません。また、異物が入っているわけでもありませんでした。
2か月後、やはり時々とても痛くなるということで来院しました。診察すると角膜の上皮がずるむけになっていました。この状態で診察して初めて診断できるのですが、これが「再発性角膜上皮びらん」という病気です。
↑角膜の上皮がはがれている
角膜には上皮という層と実質という層があります。上皮は実質とくっついているわけですが、外傷など一旦接着が外れると、それ以降簡単に上皮がはがれてしまう場合があります。これを再発性角膜上皮びらんといいます。上皮は再生能力がとても高く、少しの傷であれば1日で治ってしまうのです。
原因として多いのが、「木の枝でついた」「抱っこしている赤ちゃんの爪がお母さんの目に入った」「紙が目に入ってキズができた」などです。糖尿病の方も再発性角膜上皮びらんになりやすいです。
治療として、軟膏を使うこともあります。起床時は目が乾燥していて角膜と眼瞼がくっつきやすい状態になっています。就寝前に軟膏を角膜に塗布することで、角膜をつるつるにしてしまう、という治療です。ただ、軟膏だけではうまくいかないことが多々あります。その時は次の治療にうつります。
この疾患に一番効果的なのが角膜表層穿刺(ストローマルパンクチャー)という治療です。注射針の先端をまげて、角膜深くに傷ができないようにしたもので角膜の表面に細かい傷をつけていきます。角膜実質の表面が傷だらけになるのですが、これによって上皮が実質にしっかりとくっつくようになるのです。
この方は、治療後数日で痛みがなくなり、以降再発しなくなりました。角膜の中心に穿刺をすると視力障害の原因になるので、注意が必要です。