糖尿病で目に生じる変化
本日は白内障手術12件行いました。瞳孔が小さい人もいましたが、特に問題なく手術ができました。
糖尿病で目に生じる変化
糖尿病は全身の血管にダメージを与える病気ですが、当然目の中の血管にも影響してきます。
自分で目の中を見ることはできないので、目の中がどのようになっているか知らない人も多いのではないでしょうか?
まずは以前他院でフォローされていて、当院に来院された末期の糖尿病網膜症方の眼底写真です。視力は0.02です。
次に、20代の正常な眼底写真です。
パッと見て全然違うと思うのですが、解説していきたいと思います。
矢印の部分は視神経乳頭というのですが、正常では肌色をしています。
神経がダメージを受けるとだんだん白くなっていきます。糖尿病の方は真っ白ですね。相当視神経が傷んでいるのだと思います。
網膜は血液で栄養されています。太い血管の方が静脈で、細いほうが動脈(矢印の先)です。正常では、静脈と動脈の太さの比率は3:2程度です。
糖尿病の方の動脈はとっても細いですね・・・一部は写真で確認しづらいくらいです。
網膜のなかで黄斑と呼ばれる部分があります。正常ではこの矢印の場所です。網膜の中でも一番大事な部分で、ここがやられると急激に視力が落ちます。
糖尿病の方は黄斑の色が変になっています。こうなると視力はほとんど出ません。
病気というと「治療すると治る」イメージがあるかもしれませんが、糖尿病網膜症はそうではありません。
いつも火事に例えるのですが、医療でできることは「火を消すこと」だけです。焼けてしまった家を治すことはできないのです。
白内障手術の費用
2016.02.18 もりや眼科
今回は白内障手術を12件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
白内障手術の費用
普段買い物をするときには1円でも安くしたいという思いが働く一方で、目の手術の費用がいくらになるのか気になってもなかなか聞きにくいかもしれません。国が決めが値段なので私が値段を決めるわけではありませんが、色んな制度を効率よく利用すればなるべく安く済ませることも出来ます。今回はそんなコツをいくつか書きたいと思います。
通常白内障手術は約15万円かかる手術です(使用する薬品などによって若干異なります)。3割負担の方は約4万5千円、1割負担の方は1万5千円という事になります。しかし、実際にはもう少し安くすることができます。
①現在何歳ですか?
現在69歳以下の人は3割負担、それ以上の人は2割(もしくは1割)負担になります。2割であっても、1割であっても高額医療費制度に違いはありません。そのため、1割か2割かでは手術費用はあまり変わりないのです。通常の所得の方であれば、12000円が限度額になり、それ以上の医療費はかかりません。そのため、同じ月であれば、片目手術をしても両目手術をしても費用が変わらないことになります。3割負担の人は70歳が近ければ少し待って70歳になってから手術するのが良いです。
また、74歳から75歳になる誕生月に手術を受けると手術日が約半分になります。これは制度を良く知らないと出来ない技です。誕生月の誕生日前は高齢者で、誕生日後は後期高齢者となり、高額医療費の限度額もそれぞれで折半されます。通常の限度額12000円の人が誕生日以降で手術を受けた場合、6000円で手術を受けることができます。
②入院か、外来かで限度額が違います
高額医療費制度の値段表を見ると分かるのですが、70歳以上の人の限度額は外来か、外来+入院かで異なっています。倍近く違います。入院するか日帰りにするかは手術する施設の都合もありますし、患者さんの希望もあると思うのですが、費用の面だけで考えると日帰りの方が安くなります。
網膜静脈分岐閉塞症による黄斑浮腫
2016.02.09 網膜
本日は白内障手術10件、
帯状角膜変性症1件
無事に終わりました。
網膜静脈分岐閉塞症による黄斑浮腫
網膜静脈分岐閉塞症(BRVO)の患者さん、当院には月に2人位来ます。突然見えなくなるせいか、みなさんびっくりしてしまうようですね。そのため、良く説明してから治療を行うのですが、混乱してしまうせいか説明が頭に入っていかない人が多い印象です。中には私から見てとんでもない治療に走ってしまう人もいます・・
時々アバスチンによる治療を望んでくる人がいます。ネットで勧められているようですが、今となってはもうお勧めではありません。クリニックによっては、アバスチンを10回以上している方もいるようです。ルセンティスやアイリーアが開発される前にはやったりしていたのですが、私も現在ではやっていません。全身合併症が問題になっていて、お勧めできなくなってしまいました。もっとも、ルセンティスやアイリーアが高額過ぎるのは問題ですが。
BRVOは網膜の血流が悪くなる病気ですが、血流が不足すると黄斑浮腫という状態になります。
写真のように、網膜が分厚くなってしまいます。浮腫が起きていると、徐々に網膜が破壊されていってしまいます。この方はこれで視力0.5まで下がってしまいました。そのため、抗VEGF製剤の注射で早々に治療をしてやる必要があります。
このように、綺麗に治ります。視力も1.0まで回復しています。しかし、薬が効いている期間は限られていて、病状にもよりますが1-2ヶ月経つと再発してしまいます。この方は3回注射しましたが、再発してしまいました。
注射自体は病気を治す治療ではなく、浮腫を抑えるにすぎません。そのため、注射を続けても浮腫の原因を治す(血流を良くする)ことはできません。そのため、当院では数回注射をしても改善が見込めない場合は手術を勧めています。この方は硝子体手術を行いました。
手術後は再発を認めていません。1発でスッキリです。視力も1.2が保てました。現在は手術して3ヶ月経ちますが、特に悪化する気配はありません。この方は初めは「手術と聞いて抵抗感があった」という事ですが、実際には手術は痛いわけでもなく、そんなに大変な物ではありません。何度も注射するよりは医療費もずっと抑えられるので、特に3割負担の方には良いと思います。
下の写真は発症時。出血が上半分に出ています。
下の写真は手術後。レーザーの跡が見えます。出血はごくわずかです。