白内障日帰り手術と医療保険(日帰り手術と日帰り入院)
2015.08.31 もりや眼科
本日は白内障手術を13件行いました。(入院2件、乱視用レンズ2件)
皆さん無事に終わりました。
白内障日帰り手術と医療保険(日帰り手術と日帰り入院)
白内障手術は20年も昔は大体入院で手術を行っていたらしいのですが、手術が進歩した現在ではむしろ日帰り手術が一般的です。当然、医療保険も日帰り手術で給付されるのが一般的です。
しかし、医療保険のなかでも一部のものは日帰り手術で給付されないものがあります。私の知る限りではJAだけなのですが、他にある場合は教えてください。JAのホームページを見ると、このように書いてあります。
医療共済の特徴では、日帰り入院から長期入院まで保障されると書いてあります。本当は明記してほしいのですが、日帰り手術では適応になりません。現在白内障手術以外でも日帰り手術は一般的なのに、それが明記されずに適応にならないのはおかしいと思います。
当院では、手術前に医療保険について教えていただける方に対してはうまく対応したいと考えておりますが、手術後にこの医療保険の診断書を持ってこられてしまうと困ったことになります。
ちなみに、日帰り入院とは、有床の施設で入院日に退院するというものです。あくまで保険の制度上のものですね。
外傷性黄斑円孔
2015.08.24 網膜
本日は白内障手術15件 みなさん無事に終わりました。
本日手術したうちの一人は、「宇宙旅行しているみたい」に見えたそうです。もともど0.01の視力だった方なので、今まで見えなかったものが徐々に見えるようになったとは思うのですが、どのように見えたのか気になります。
余談ですが、患者さんの主訴で、「持病を持っている」というものがありました。この言葉に違和感を覚えたのですが、「馬から落馬する」という言葉が連想されたのだと思います。調べてみたところ、落馬と持病は言葉の種類が違うようです。落馬=馬から落ちる、ですが、持病=病気を持つ、ではありません。持病の意味は「慢性的な病気」の事なんだそうです。だから、「落馬する」とはいっても、「持病する」とはいいません。「持病を持つ」は正しいようです。一つ勉強になりました。
外傷性黄斑円孔
外部からの激しい衝撃で網膜の中心である黄斑がダメージを受けることがあります。私が研修医の時には、「サッカーボールのような大きいボールでは目に外傷が生じにくく、ゴルフボールのような小さいボールが危ない」と教わっていました。しかし、実際にはそうでもなくて、野球のボールやサッカーボールのように大きなボールで重症な眼外傷になる方を見てきました。
18歳の子供なのですが、サッカーボールが強く当たってから見えづらくなったという主訴で当院初診。当院に来院した時には、受傷して2週間経っていました。矯正視力は0.04でした。眼底検査を行ったところ黄斑円孔が生じていました。
早急に手術を行った方が良いと考え、硝子体手術を行いました。すると、手術後1週間で円孔が閉鎖していました。ただ、それでも視力は上がりにくくて、矯正視力0.04のままでした。
しかし、若いせいか徐々に視力が戻ってきています。手術後半年で0.2、今回手術後1年ですが、0.4まで回復しました。やはり若いと回復力が違います。下は最近のOCT。見た目は大きくは変わりませんが、視機能に重要なISOSラインが少し回復しています。
外傷後の経過は人それぞれで、みんなが同じように視力が上がるとは限りません。特に黄斑が障害されると視力がガクッとおちてしまいますが、このように少しでも視力が取り戻せればと思います。
近視抑制に最適なアトロピンの濃度
2015.08.17 近視治療
本日は白内障手術11件
無事に終わりました。
近視抑制に最適なアトロピンの濃度
アトロピンの治療を行っていると、近視が明らかに抑制されている人もいれば、そうでない人もいます。
「あんまりアトロピンが効いてないかも?」と思う方でも、多少濃いアトロピンを使用すると近視抑制効果が高くなる人がいます。
下のデータは10歳の子供ですが、2014年11月までは0.01%、それ以降は0.025%を使用しています。ここ半年は眼軸が全く伸びなくなりました。
右眼の眼軸長
2014年1月 22.95mm
2014年11月 23.20mm
2015年2月 23.32mm
2015年5月 23.31mm
2015年8月 23.30mm
近視抑制で使用するアトロピンが低濃度の理由は副作用による見えづらさが生じにくいように、という理由です。ですから、濃度を高めると調節が減ったり散瞳する可能性は高くなると思われ、その点に注意が必要です。0.01%の時もそうでしたが、点眼開始当初にやや散瞳していても、次第に散瞳しなくなってきます。現在アトロピンを0.025%にした数名はそういった副作用は出ていませんが、0.01%でしばらく点眼していたのが理由かもしれません。
ハードコンタクトを使用している方の白内障手術
2015.08.04 白内障
本日は白内障手術11件(うち乱視用レンズ2件)
白内障の硬い方、虹彩が弱くなっている方がいましたが、無事に終わりました。
「術翌日から運転したい!」という方もいましたが、術翌日検査では余裕の視力1.2!ばっちり運転できますね。
ハードコンタクトを使用している方の白内障手術
白内障手術を申し込むときには必ず手術用の問診を行います。その一つに「コンタクトレンズを装用していますか?」と言うものがあります。特に、ハードコンタクトは角膜表面の形状を変化させます。角膜はレンズの役割をしていますので、形が変わると近視・遠視・乱視などの度数が変化しています。
術前検査のデータから変化してしまうと、手術後の裸眼視力に影響してしまいますので、3週間程度はハードコンタクトを外してから検査を行います。(検査を行った後は手術までコンタクトは装用可能です)
先日白内障手術を予定した方ですが、初診時のKAI(角膜対称性の数値:角膜の形状が綺麗だと数字が低い)が右12、左19でした(正常では約30以下)。
初診で白内障手術を希望したため、しばらくハードコンタクトを外してもらう事にしました。その後のKAIは右63、左81とかなり数字が増えています。かなりの異常値です。ちなみに、近視や乱視の度数はあまり変化ありませんでした。
そこで、角膜形状解析を行うとこの通り。
円錐角膜という病気が見つかりました。角膜中央よりやや下方で角膜が突出していることを表しています。ハードコンタクトの影響で、突出が抑えられていたのでしょうね。