手術中はどこを見ていれば良いのか?
2014.03.31
本日は白内障手術9件
霰粒腫手術2件
無事に終わりました。70-74歳の駆け込み手術が多かったです。
明日から2割負担になりますが、医療費が倍になると、大分負担が増えるのではないでしょうか。2割負担については、あまりニュースで取り上げられていない感じがしますが、皆さんご存知でしょうか?
手術中はどこを見ていれば良いのか?
たまに手術説明で言われることがあるのですが、「手術中はどこを見ていれば良いのですか?」ということです。そもそも、眼科の手術室に入るのが初めてという方が殆どですから、「手術の時にどんなところに連れて行かれるのだろう?」という不安もあるかもしれません。
白内障手術は顕微鏡を通して観察しながら行うので、顕微鏡の方を見ててもらうのが一番です。手術のときには仰向けに寝てもらって、目の前(目の上)に顕微鏡を設置するという形になります。
下の写真は、仰向けに寝ている患者さんに緑の布を載せています。赤い矢印の部分が患者さんの目です。緑の輪っかが顕微鏡で、緑矢印の部分から顕微鏡の光が出ます。
顕微鏡の裏側を覗いてみると、下の写真のように光源が3か所あります。なるべく眩しくないように多少暗めに設定してありますが、それでもたまに眩しいと言われてしまいます。光っている3か所の真ん中あたりを見てもらえればと思います。
片目(手術する目)だけ開けようとすると、どうしても目に力が入ってしまいます。そうすると、目がキョロキョロ動いてしまうのです。手術する目は開瞼器で強制的に目が開いているのですが、両目とも軽く開けている感じでいると良いと思います。
視野検査は頑張らない
2014.03.24
新しいAMO社の乱視矯正レンズを用いて手術を行いました。明日の診察が楽しみです。
視野検査は頑張らない
緑内障の検査といえば、眼圧検査とともに視野検査が重要です。
定期的な視野検査を行って、視野が減っていくようであれば緑内障が悪化していると考えなくてはなりません。
ですが、眼圧検査とは異なって視野検査は「光が見えたらボタンを押す検査」ですから、頑張って検査をするか怠けて検査をするかによって結果が異なってしまいます。
この方は、半年前に検査をしたときはこのくらいの視野でした。
視野検査の結果、向かって左上の4分の1が見えていないことが分かりました。もちろん、点眼で緑内障を進行させないように治療を開始しました。眼圧も順調に下がって半年後、もう一度視野検査をしたらこんな視野に。
かなり視野が良くなってしまいました。緑内障は視野が改善することはありませんから、前回の検査がうまく出来なかったか、今回が頑張りすぎてしまったのかのどちらかだと思います。
初回の視野検査は、患者さんが検査に慣れていないので、検査の結果はあてにならないという話があります。また、手術を薦めると視野検査が良くなるという話もあります。 しかし、視野検査には「ひっかけ問題」があって、検査の信頼性を評価しています。信頼性が低い結果だと、治療方針を決める際には使用できません。
「視野検査は平常心でうけましょう」
副作用があっても自己判断で点眼をやめないで
2014.03.17 緑内障
本日は白内障手術を9件、霰粒腫摘出術1件行いました。
かなり重症のIFISの方もいらっしゃいましたが、無事に手術ができました。
IFISについてはこちら
今日は新しいORT(視能訓練士)が入職しました。
これで当院のORTは2名になります。さらに質の高い検査を提供できればと思います。
副作用があっても自己判断で点眼をやめないで
緑内障の診療をしていると困ることが時々あります。それは点眼薬をしっかりつけてくれないことです。緑内障は病状を理解するのが難しい病気なので、こちらが「重症の緑内障だ」と思っても、患者さんは気楽にしていることも良くあります。
先日あった話ですが、80歳くらいの患者さんが「最近見えにくくなったが、白内障があるかどうか診てほしい」ということで受診しました。確かに白内障は少しあるものの、両目とも視力は1.0。しかし、眼底検査を行うと視神経がかなり傷んでいるようでした。
視野検査を行うと、こんな視野が。
黒い部分は見えていないということなので、かなり進んだ緑内障と言えます。眼圧は17mmHgで、いわゆる「正常眼圧緑内障」です。それでもしっかりと眼圧を下げないと、緑内障の進行を抑えることができません。そのため、眼圧を下げる効果の高い3種類の点眼薬を処方をしました。しかし、私が感じた危機感は患者さんにうまく伝わっていなかったようでした。1か月後受診時には「まぶたの調子が悪かったから点眼してなかった」とおっしゃっていました。
緑内障が軽ければ、点眼を変更することもできるかもしれませんが、この方は点眼できるものをすべて使用していたので、点眼を減らすことしかできません。点眼を減らすということは、緑内障を抑える力が弱くなるということを意味するので、できればつけてもらいたいのです。もちろん、まぶたが腫れぼったくなるのは嫌かもしれませんが、失明のリスクを考えれば点眼を続けざるを得ないと思うのです。
なんとか自分の病状を理解してもらうべく、色んな方法で啓蒙しています。ブログ始めたての時に話した、盲点のチェックも時々患者さんに試したりしています。
糖尿病の合併症 角膜の障害
2014.03.10
翼状片1件
結膜嚢形成術2件
無事に終わりました。一人は結膜弛緩症によって結膜下出血が毎月のように生じるという症例でした。
きっちり処置したので、再発が防げればいいですね。
遅くなりましたが、今週の記事です。
糖尿病の合併症 角膜の障害
糖尿病が目に及ぼす合併症で一番多いのは糖尿病網膜症です。しかし、糖尿病は網膜以外にも良く悪さをします。そのうちの一つが角膜の障害です。
糖尿病は全身の神経を障害しますが、角膜の知覚が障害されると角膜に傷がついても全く痛みを感じなくなってしまいます。また、本来眼の表面が乾燥すると「目が乾いた」と神経が感知して涙を出しますが、この機能が働かなくなってしまいます。結果として角膜が傷んでしまうのです。
この方は、「物が見えにくくなった」という主訴で当院を受診しました。診察してみると、角膜の皮がずるむけになっていました。本来とても痛いのですが、まったく痛みは感じなかったそうです。
フルオレセインという染色液を付けてから青色の光を当てて診察すると、角膜中央が良く染色されています。この部分には角膜の上皮が無くなっているのです。そのため、コンタクトレンズで角膜を保護して様子をみました。
数日でこの通り傷が塞がりました。角膜の知覚が低下している場合、折角傷が治っても再発することがあります。そのため、しばらくは注意深く経過をみる必要があります。また、この方は角膜中央付近で角膜上皮の障害が生じたため、視力が0.3まで落ちてしまいました。下の写真を見ると分かると思うのですが、傷が塞がっていても完全に透明になっているわけではありません。このまま再発しなければもっと傷が綺麗になって、視力が上がると思います。糖尿病は怖い病気ですね。
もりや眼科 平成26年2月の手術実績
2014.03.03 手術実績