ミドリンPアレルギー
2014.02.24
霰粒腫1件
緊張の強い方がいたのでやや時間がかかりましたが無事に終わりました。
ミドリンPアレルギー
ミドリンPというのは、眼科で良く使う点眼薬です。これは、検査や手術の時に使う薬で、瞳孔を開くという作用があります。
瞳孔というのは、上の写真で黒色の部分です。ここから眼の中に光が入ることになります。ですから、暗いところでは大きくなるし、明るいところでは小さくなります。
たとえば、白内障手術のときは、瞳孔を広くしてから手術を行います。
上の写真が瞳孔の開いた写真です。この方は白内障があるので、瞳孔の奥が真っ白になっています。
ミドリンPはこのように散瞳(瞳孔を広げる)時に使用する一般的な点眼薬です。
このような点眼薬ですが、一般的に処方されることはあまりないので多くの方は見たことが無いと思います。
点眼薬をつけてから15分くらいして徐々に瞳孔が広がって物が見えにくくなります。最終的に3時間から半日程度かけて瞳孔が元の大きさに戻っていきます。その間に手術や眼底検査を行うわけです。
殆どの場合、次の日には点眼の効果がなくなっているのですが、まれにこの点眼薬が体に合わないという方を見かけます。そのような方では、ミドリンPを点眼して数時間してから目が痒くなり、充血してきます。
散瞳検査の次の日に「痒い」「充血がひどくなった」と言って来院し、ミドリンPアレルギーだと判明することが多いです。たいていは数日で治りますが、ひどい人は1週間以上充血や痒みが続くかたもいらっしゃいます。
写真が少し暗いですが、これがミドリンPアレルギーになった方の写真です。白目が赤くなっているのがわかります。この方は白内障手術の術前検査で散瞳した時にミドリンPアレルギーと判明しました。
ミドリンPアレルギーの方は点眼後かなり辛いらしく、散瞳をしたくなくなってしまいます。その時に使うのがミドリンMです。
ミドリンPには、2種類の散瞳成分が入っているのですが(トロピカミドと塩酸フェニレフリン)、塩酸フェニレフリンがアレルギーの原因になっていることがおおいので、ミドリンMには入っていません。
そのため、ミドリンMでは点眼後に充血したり痒みがでる可能性が低いのです。
ちなみに、これは緑区のゆるきゃらの「みどりん」だそうです。
さっきの写真の方も、手術時にミドリンMを用いたところ、翌日には充血を認めませんでした。
今後もこの方が散瞳するときはミドリンMを用いることになっています。眼科で散瞳検査を行った後に充血、痒みが生じた場合は、次回外来のときに言うといいと思います。
アルカリが目に入ったら危険!
2014.02.17 もりや眼科
本日は白内障手術を9件行いました。
皆さん無事に手術を終えました。
アルカリが目に入ったら危険!
眼科をやっていると、目に○○が入った!と言って駆け込んでくる患者さんを良く診ます。多いのは破れたソフトコンタクトが目に入った人でしょうか。赤ちゃんの指が入ったという人もいました。他にも、揚げ油、殺虫剤、洗剤、洗顔料のスクラブ、火山灰が入った患者さんを診たことがあります。
その中でも、特に重症になるのがアルカリ性の物質が目に入った時です。一般的なイメージでは、酸性の物質の方が危ないイメージかもしれません。しかし、酸性の物質は眼の表面しか障害しないのに対して、アルカリ性は眼の深くに浸透してダメージを与えるため、深刻な障害を与えることがおおいのです。
先日経験した症例で、生コンクリートが目に入ってしまったという事で当院を受診しました。
結膜が充血しているだけのように見えますが、角膜を染色してみてみると下半分が染色されました。角膜上皮が障害されると染色されるようになるのです。
アルカリは角膜の組織深くに浸透しているので、来院してすぐに30分持続洗浄を行いました。本当は来院前にしっかり目を洗ってもらった方が治りが早いのですが、なかなか良く洗ってくれません。「とりあえず早く眼科に行かなきゃ!」という心理は分かるのですが・・
この方は、2日後には角膜の上皮が貼ってきて、もう一息で治りそうという感じでした。
今回はアルカリが目を強く傷害していなかったのできちんと治りそうでしたが、実際には失明してしまう方もいます。アルカリを浴びた後で結膜が白っぽくなっている場合は要注意です。結膜の血管が障害されているという事です。
このような場合は、角膜上皮を作る細胞も死滅していることが多く、角膜上皮が再生しません。そうすると、角膜表面に結膜が張り出してきて、角膜が濁ってしまいます。
目に良く入る強アルカリ性のものは、生石灰やコンクリートでしょうか。以前はグランドにひく白線の成分も強アルカリ性でしたが、子供に危ないということで現在では中性で安全なものを使用しているそうです。
目にできる腫瘍(類上皮種)
2014.02.10 もりや眼科
白内障手術7件
翼状片手術1件を実施しました。
無事に終わりました。
今回は緊張の強い方が多かったので、いつもより多めに話をしながら手術を行いました。
少しでも安心してもらえると良いのですが。
目にできる腫瘍(類上皮種)
先日、若い女性が目にできものがあるという事で来院されました。
先日お話した涙丘と同じ部分に白いぽこっとしたものができているというのです。どうやら、生まれつきあったようですが、切除を希望されました。
この白っぽいものです。悪いものではなさそうですが、外から見える部分でもあったので、切除をしました。
これが術後の写真です。白いのが無くなってすっきりしています。
正面からみるとまったくわからないくらいになっています。
切除したものを病理検査(顕微鏡での検査)で「類上皮種」と診断されました。良性の腫瘍で、しかも完全に切除できたので安心です。
類上皮種というのは、本来皮膚になるはずの成分が結膜の中に存在することで発症します。キラキラした白色が真珠のように見えるので「真珠腫」とも言われています。しかし、この白い真珠のようなものは腫瘍ではなく、腫瘍が作り出した「垢」なのです。ですから、真珠みたいな白いものをを包み込んでいる被膜のようなものが、実は腫瘍の本体なのです。被膜をなるべく破らないように摘出します。
間違えて白い部分だけ摘出してしまうと、腫瘍を取ってないことになってしまいます。