霰粒腫(さんりゅうしゅ)について
2013.04.09
今日は白内障手術5件
霰粒腫切除術1件
すべて無事に終わりました。
本日は後輩が見学にきました。工夫していることや、思っていることを沢山話ました。
その後家に帰ったら寒気が・・・うーん、風邪をひいたかな。明日に影響がでないように早めに寝ます。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)について
まぶたの中にはマイボーム腺といって、油を出すところがあります。この油は涙の蒸発を防いだり、目がゴロゴロしないような潤滑剤として働きます。しかし、時にマイボーム腺が詰まることがあります。これを霰粒腫と言います。簡単に言うとニキビのようなものです。似たもので、麦粒腫というものもあります。これは別名ものもらいと言い、マイボーム腺の中で細菌が暴れたものです。
マイボーム腺の出口はまぶたの縁にあります。(上の写真の青矢印)上まぶた、下まぶたともに約20個程度存在します。
上の写真だと、白い目詰まりがあるのがわかりますね。ここがマイボーム腺の出口です。
霰粒腫は、このマイボーム腺の途中で目詰まりをおこし、なかで油がたまる(青い部分)病気です。油の量が増えると、皮膚側か、もしくは眼球側に油が出てきます。
これは皮膚側に出た場合のイラストと写真です。写真では何があるかわかりにくいですが、上まぶたの中に大豆のようなものが触れます。だんだん油の量が大きくなってくると、皮膚が薄くなったり、睫毛が抜けてきたりします。一旦霰粒腫皮膚が薄くなると元に戻りませんし、霰粒腫で睫毛が抜けると、治ったあとも生えてこないことがありますので、その時は手術の適応だと思います。
こんな風に皮膚が薄くなると、もうそろそろ手術を考えても良いかもしれません。実際に皮膚側から切開をして、中身をだしても、傷口は殆どわからない程度になります。
これが眼球側に出た場合のイラストと写真です。瞼の粘膜の奥に何か白いものがあるのがわかると思います。眼球側に霰粒腫が出たときは、瞼の裏からメスで切開するだけで、内容物がどっとでてきます。多少出血しますが、縫合や抜糸をせずに済み、美容的に影響がないのが利点です。だたし、皮膚側に霰粒腫が出来た場合は瞼の裏から切開できないこともあります。
涙腺が腫れるドライアイ(ミクリッツ症候群 Mikulicz's syndrome)
2013.04.01
本日は白内障手術4件(うち、緑内障発作後1例、成熟白内障1件、乱視矯正用眼内レンズ使用1件)
眼瞼内反症手術1件を行いました。今回は手術が少なめでしたが、とてもハードでした。
涙腺が腫れるドライアイ(ミクリッツ症候群 Mikulicz's syndrome)
今回はやや専門的な話です。一般の方には分かりにくい内容だと思います。
外来をやっているとドライアイの患者さんは山ほど来院されるのですが、あまりに重度のドライアイの場合、シェーグレン症候群という病気を疑って、血液検査をすることがあります。
今回、重度のドライアイに加えて、涙腺と唾液腺が腫脹している患者さんが来院されて、ミクリッツ症候群と診断しました。そこで、今回はミクリッツ症候群について話をしたいと思います。
ミクリッツ症候群は、重度のドライアイに涙腺腫脹が合併する疾患ですが、その原因として、悪性リンパ腫、白血病、サルコイドーシス、結核、梅毒の可能性があるようです。そのため、まずこれらの疾患を除外する必要があります。結核は最近クオンティフェロンの血液検査ができるようになったので、多少は楽に診断できるかと思いますが、検体の取り扱い(温度)が少し面倒です。これらの疾患を除外すると、ミクリクツ病と診断されます。(正確には涙腺を病理検査する必要があります)
上の写真では、眉毛のあたりが腫れていますね(D)その他にも、顎下腺(C)も腫れています。最近、ミクリクツ病はIgG4という免疫が関与していると言われています。そのため、上記の除外診断と同時にIgG4も検査すると良いと思います。
また、涙腺だけではなく、他にも内臓疾患が合併していることもある(甲状腺の異常、肝機能異常、腎疾患など)ので、全身のCTやMRIは必須です。
乾燥性角結膜炎の治療は、一般的なドライアイに準じますが、涙点プラグを行った上で複数の点眼治療を行わないと、なかなか治りにくいかもしれません。また、全身のステロイド薬が著効するようです。
もともと稀な疾患なので、きちんと知識を整理しておかないと次に活かせませんね。次回同じ患者さんが来院されることは滅多にないと思いますが、スムーズに対応できると思います。