幻の白内障治療薬(パロチン)
2015.04.28 白内障
本日は白内障手術10件
翼状片手術1件
眼瞼内反症手術1件
無事に終わりました。
幻の白内障治療薬(パロチン)
白内障手術するにはまだ早いけど、なんとか他に治療方法があればやりたいという患者さんは時々いらっしゃいます。そんな場合、私は点眼を出すのですが「点眼しても白内障は進行しますよ」という事にしています。一旦生じた白内障が消えるわけでは無いし、白内障の進行を抑える効果もあまりはっきり感じないからです。
実は、白内障治療には内服薬もあるのです。それが「パロチン」という薬です。牛の唾液腺ホルモンなんだそうですが、一説には若返りの効果もあるようです。
しかし、1968年に発売されたというとても古い薬であるせいか、きちんと効果があるという証明が出来ていないようです。実際に白内障学会のホームページでは「内服薬は効きません」とはっきり書いてあります。よくよく考えると唾液腺がホルモンを出すというのは初めて聞きました。そもそも唾液腺ホルモンというものは存在しないようです。
私は眼科専門医にもかかわらず、最近までこの薬があることを知りませんでした。周りで誰も使っている人がいなかったので・・・・。一度試してみようかと考えていたところ、実は今月から販売中止なんだとか。原料である牛の唾液腺の調達が困難になったからだそうです。
http://www.aska-pharma.co.jp/eccube/html/upload/save_file/info_deri_parotin_201411.pdf
ということで、今年4月からパロチンが飲めなくなってしまった方には、唯一となってしまった白内障内服薬のチオラ錠と言うものがあります。私はこれも使ったことはありません。
「白内障を進行させたくない」という気持ちは十分分かりますが、実際に白内障の進行を止めるのは難しいです。